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本屋の入り口にこの本が横積みされていて、立ち読みしてみれば結構面白そうなのでつい購入してしまう。リアル書店で本を買うなんて滅多になく、しかも書評とか紹介記事の手がかり抜きに(要は殊能センセーが紹介していないということ)この手の本を買うことも珍しい。大学病院を舞台にする医療もので、ハードボイルド形式というのが気に入った理由の主なもの。
物語は首都圏の独立法人化されたばかりの元国立大学付属病院で進行する。なんだかよく判らない立ち位置で窓際外来だけをやって日々を過ごしている万年講師が、病院長の特命を受けてエリート外科医の心臓手術に頻発する術中死の真相をさぐるというもの。この主人公が事件調査を続けていくだけでは、ちょっとミステリーとしては成り立たないのではと心配していたら、途中からとんでもないキャラ設定の探偵役が現れ、主人公は急にワトソン役に格落ちし、文体もハードボイルドからお笑いミステリーに変ってしまうのである。
正直いって細かなところで感じる違和感は数多く、まず講師なのに学生教育に関与していなさそうな主人公の存在が謎だし、彼がやっている「不定愁訴外来」はもっと謎。一日5人しか患者みないなんて、どう考えてもありえんし、そもそも、黙って患者の話を聞くことがすべてというのは、面接の方法論として成り立たんと思いますがね。途中から出てくる妙な探偵役厚労省技官の言葉を借りるなら、「アクティブ・フェーズ」がない限り、通院を維持させることさえ出来ないだろう。
事件の謎解きはそう意外なものではなく、大体一連の術中死が殺人であると仮定すれば、犯人になりうるのは1人しかいないのは明らか。そこらを単刀直入に調べたら終りの話を、遠回りに引き延ばしているだけという感じは強いものの、途中からは妙な探偵役に主人公が振り回されるところを面白おかしく書くのがメインになっているような面もあるので、これもアリなのかと思ったりする。
ほとんどネタバレになってしまうが、術中30分おきにサンプル血液を採取しているという前提があって、一連の事件に一種の密室性が付加されている訳だが、なんぼ直接血中に投与していないとはいえ、あの物質なら必ず血液に証拠が残るんじゃないだろうか。それに、硬膜外腔から脳幹下端にチューブが届くなんてことあるかねぇ。一度スミルノフ教授に質問してみよう。
そんな違和感は別にして、結構楽しめた一品ではありました。
投稿者 webmaster : 2006年04月05日 23:35
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トラックバック時刻: 2006年04月17日 14:41
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トラックバック時刻: 2006年06月24日 13:03
この歳になれば読書は楽しいのが何よりでござんす。
何も読むもの読むもの全てに魂の糧を見出さねばならぬわけでもなし。
医療ものサスペンスというとロビン・クックなど夢中になって読んでおりました。
http://www.f-store.net/book-image/800004/80000427.jpg
あるものの売買がビジネスとして成立するならば、商品の供給源を確保せねばならないのは理の当然でして。
これ先にも書きましたっけ?(笑)。
マイクル・クライトンの新作も邦訳が出ましたし。
今度のテーマは暴走するナノマシンだそうです。
高度システムの破綻と暴走はこの方の永遠のテーマですね。
投稿者 小狸工房 : 2006年04月06日 04:26