« ポルノ・カタログ | メイン | サーバー絶不調 »
40年以上前の話になるが、私が子供の頃愛読していたお子様向け科学解説雑誌に、こんな記事が出ていた。米国の企業が「粉末化水」を開発したというのだ。水を粒子化してゼラチンでコートし、一見乾燥した粉末状にしたのだと。この技術によって、乾燥地帯への水輸送コストはどっとさがり、砂漠の緑地化も夢ではないというのだ。
これを開発したのはNCR-ナショナル金銭登録機会社で、本来はタイプライターリボンやカーボン紙につかうための技術だということだった。染料を溶かした粉末水を塗り込んだ紙をつくれば、カーボンのいらないカーボン紙が出来るというわけである。水タンクで運ぶのも、ゼラチンコートされた粉末水をトラックで運ぶのも、重量はほとんど一緒だろうという当然の疑問は出てこなかった。さらさらしたメリケン粉みたいなものになるイメージのほうが、圧倒的に強かったのである。
元来、「粉末化水」というのは錬金術師によって作られたとされる伝説の物質で、砂漠を行く商人などのために高値で販売されたという伝承があるそうだ。密閉された包みを開封すると、程なくして普通の水になるというもの。約120グラムほどの粉が、ほぼ1リットルの水になったというのだから、持ち運びにもまことに便利といえよう。
もちろんそんなものがあり得るわけはなく、単なる伝説でしかないのだ。しかし、「粉末化水」の技術を伝える先の雑誌記事は、あきらかにそうした錬金術的な夢想が現実化されたようなニュアンスで書かれていた。不思議なのは、その技術がその後どうなったのか、さっぱり聞かないことである。時々役所向けの書類を書かされるときに使うカーボン紙をみると、これには今もあの「粉末水」の技術が使われているのだろうか、もしかしたらあの記事は全くデマだったかもなどと、ちょっと考え込んだりしていた。
そうこうしていたら、かのイグ・ノーベル賞サイトで、「粉末化水」についてふれた記事(PDF)が引用されているのに行き当たる。これは米国ゴルフ協会のQ&A記事で、ゴルフコースの水やりに「粉末化水」を使えないかという質問に、回答者はほぼ私が読んだ記事と同じようなNCRの発明についての説明をした後、この技術はまだ発展の余地があって、ゴルフコースで使えるのはまだかなり先のことであろうと述べている。
残念なことにイグ・ノーベル賞サイトでも、肝腎のリアル粉末化水技術が、今どのように応用されているかは書かれていなかった。"Powdered Water"で色々検索してみたが、出てきたのは先の魔術サイト記事と、向こうではかなり有名らしいスチーブン・ライトというコメディアンのジョークと、そのバリエーションばかりであった。そんなわけで、それを引用してオチに換えさせていただく。
「この前、粉末の水ってのを買ったんだよ。でも、一体何で溶かしたらいいのか判らないんだ」。
投稿者 webmaster : 2006年04月24日 22:25
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/778
粉末水は扱った事ありませんが、個体化水は扱った事があります。
個体化水を細かく削った物にシロップを掛けて食べたこともあります。
聞くところに寄ると個体化水の上を滑る遊びも有るらしいですね。
投稿者 をたくな講師 : 2006年04月26日 00:46
「ハイドロゲル」「粉末」「砂漠」「緑化」などのキーワードで検索をかけると、あ、なるほどナーと思います。
ただしこれは飽くまでも保水性の高い粉末に過ぎませんが(笑)。
投稿者 小狸工房 : 2006年04月25日 21:22