« ニンジャに訊け! | メイン | OJシンプソン、フォードブロンコを売る? »
かって日本でも重要な治療課題であった腸管寄生虫感染は、むしろアトピー性疾患を防ぐという主張は次第に市民権を得つつあり、日本の数少ない寄生虫研究者のなかには、あえて寄生虫感染を意図的に選ぶ人までいるほどだ。
アトピー疾患と寄生虫感染との逆相関に関しては、今も様々に追試(例えばこういうの)が行われていて、ほぼエビデンツとして確立した感もある。だからといって、人間は多少の寄生虫ぐらい腹に飼っておくのがいいのだというと、それはそれで抵抗があるのも事実である。
一部には、寄生虫は宿主の体格まで影響を与える遺伝子発現作用操作能力があるという主張すらあり、日本人の短足胴長という体型はカイチュウに支配された結果だともいわれている。確かに、単なる栄養とか生活様式の変化だけでは、最近の若い人が急にえらくカッコよくなっていることは説明できないので、この寄生虫説にはそれなりに説得力があるのは事実なのである。
寄生虫感染がアトピー疾患増加を防いでいたのはよいとして、その寄生虫感染が深刻な障害を来すこともまたあるわけで、発展途上国などでは健康への脅威という意味では、寄生虫駆除を優先しなければいけないのも明らかである。貧血や低栄養という貧困の側にある障害と、アトピーという繁栄の側にある障害なら、「命に関わらないだけマシ」という理屈が優先されることになる。
そんなわけで、発展途上国における駆虫プログラムが、アトピー疾患という、ある意味もっとやっかいな疾患を増やすだけではないのかという疑問に答えるべく計画されたのがこの論文。ランセット最新号に掲載されたもの(もしかしたら、登録しないと読めないかも)。
エクアドルの農村地区で、68の学区に住む約2400人の子供たちをを対象にして行われた駆虫プログラムを利用し、無作為に駆虫薬投与群と非投与群の二つの群にわけ、アトピー疾患の増加率を見るという、自分がエクアドルの田舎にすむカイチュウ持ちの子供だったら、被検者にはなりたくないなと思うような、ランダム化比較試験の結果を示したもの。
その結果、駆虫薬の投与群と非投与群の間に、アトピー疾患を持つ率に有意の変化はなかったという。いっぺん寄生虫でアレルギーへの対処を覚えた個体は、駆虫したあともその成果を維持するという結論である。ということは、子供の時にカイチュウやら様々の寄生虫とおつきあいしていた人なら、今さらサナダ虫の卵を飲んでまで再感染させる必要はないということか。極端な健康法の一部に対する、ある種否定的な研究といえますか。その機会はどんどん減るとはいえ、今後の追試を期待したいものだ。
"Effect of albendazole treatments on the prevalence of atopy in children living in communities endemic for geohelminth parasites: a cluster-randomised tria",
The Lancet, Volume 367, Issue 9522, 13 May 2006-19 May 2006, Pages 1598-1603
Philip J Coopera, Martha E Chicoa, Maritza G Vacaa, Ana-Lucia Moncayoa, J Martin Blandd, Evelin Maflaa, Fernanda Sancheza et al.
投稿者 webmaster : 2006年05月14日 23:28
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/795
>それはトキソプラスマ脳症であって、分裂病ではありませんが……。
あら、そうなんですか。
http://x51.org/x/06/02/1437.php
こちらの話を鵜呑みにしてしまいまして。
失礼しました。
投稿者 fum_k9 : 2006年05月17日 22:53
>(トキソプラスマが)猫から人に感染すると統合失調症を発症するという説
それはトキソプラスマ脳症であって、分裂病ではありませんが……。
投稿者 Webmaster : 2006年05月17日 09:55
猫を宿主とする寄生虫のトキソプラズマが、媒介主のネズミに異常行動を促す(危険を顧みず猫に自ら向かっていく)という話を某サイトで見ました。そして、猫から人に感染すると統合失調症を発症するという説があるとも・・・
こんな話を聞くと、進んで寄生虫を摂ろうという人の気が知れません。猫すら飼いたくなくなってきた・・・
他にも寄生虫が異常行動を促す例があるそうで。
アリにおける槍形吸虫とか魚における吸虫とかバッタにおけるハリガネムシとか。
お~怖。
投稿者 fum_k9 : 2006年05月16日 23:56
寄生虫がいようがいまいが、腸は常に細かな蠕動運動を繰り返しています。ストレス下では迷走神経優位になる場合も、その逆もあるので、常に腸の動きが悪くなるとは言えません。どちらかというと下痢する人が多いのではないかな。
妙な思いこみコメントに対して反論すると収拾がつかなくなる(なにせ、脳内定説は訂正不能という特質がある)ので指摘はこれにとどめますが、ジョークと実用の狭間をねらっている当サイトとしては、それなりのチェックはしておかないとマズイので一応書いておきます。
投稿者 webmaster : 2006年05月15日 19:13
今、体験中なので、誰にでもあてはまらないことだろうけど。
直裁にいうと、
「腸が常に微動していると、血糖値が理想に保たれやすい。」
だから、体温が正常になって皮膚の代謝がよくなる。
つまり、寄生虫がいる人は、腸がそういう状態になる。
もうひとつ、精神的ストレスを感じると、人の腸は動きが悪くなる。
子供たちの場合は、座ったままがかなりのストレスになっているはず。
また、腸を動かすあるいは本来の姿にする術は、宗教の方がうまい。
医学的根拠がないのに、治る場合があるのは、このことからかもしれない。
ふふふ
投稿者 noneco : 2006年05月15日 10:15