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読者からの質問メールに、今日の朝日新聞記事に関するものがあった。さる98年に死亡した男性の生命保険金の支払いを求める民事訴訟で、裁判官は受取人側が被保険者を薬物で死亡させたと認定し、原告敗訴としたという記事についてである。(ウェブ魚拓による記事のキャッシュ参照)
そこで使われた薬物はサリチル酸化合物であったとされるのだが、朝日新聞記事には「市販のアスピリンなら、数十錠のむと致死的な量になる」と解説されていて、そんなもので人は死ぬのかというのが質問の中身。結論からいえば、「数十錠」のニュアンスの問題が多少あるものの、朝日の解説は間違いではない。アスピリンは30gもあれば人を死に至らしめることが可能で、要指示薬でもないため、誰でも処方箋なしに致死量を買うことが出来る。もっとも、この薬は吸収がかなり遅く、作用も飲んでコロリというようなものでないため、多量服薬が判っていれば対処がしやすいことが、あまり警戒されない理由であろうか。
朝日の記事は基本的には間違っていないと、私には珍しく速攻で返信したのだが、なぜそんなにすぐ返事がかけたかというと、実はあの朝日の記事の取材相手は私だったのである。なんで私なんぞのところに取材に来たかというと、この死亡症例が受診した病院というのが、当時私がつとめていた病院で、はじめに診た医者というのが他ならぬ私だったからである。
この経緯については、実はかなり前に記事にしたことがある(こちらを参照)。保険会社の調査と、県警の捜査がある程度進んではいたものの、何となく頓座という雰囲気になっていた頃のことである。保険会社は支払いを拒否していたが、まだ支払い訴訟は起こされていなかったと思う。私としては田舎病院のユルイ体制の隙につけ込まれたという憤怒があったので、多少ぼかしてあるとはいえ、あの段階でこんなこと書いてもいいのかなというようなことまで書いたのだが、どこからもお咎めはなかった。関係者が誰も読まなかったからだろうけど。
当時何度も保険会社の調査員や県警の捜査員から質問を受け、その際、新聞記事になっていないような付随的な事実まで逆に教えてもらい、私なりに考えた末、これは謀殺であろうと思っている。多量のアスピリンを、自分から死ぬ気もない人にのませるのは無理があり、そのへんが新聞記事だけでは矛盾を感じるところなのだが、実際の状況をみれば、そこをクリアするための作為がはじめからあったことに気づき、その手口の見事さに感心しているほどである。
保険金を得るために人の命を奪うというのはもちろんイケナイことではあるが、収入の3倍にもなる掛け金を払うような契約をホイホイと受け入れる保険会社の体質がそういう行為を呼んだとも言える。判決ではぜひその点にふれて欲しかったのだが、どうもそこへの言及はなかったようだ。県警がこの判決を受けてどうするかというのが次の注目点になるが、記事を見る限り、どうもあんまりやる気はなさそう。非重要参考人その1としては、まことに複雑な思いである。
なにより驚いたのは、自分が取材対象になった記事内容に関する質問が、当の私に寄せられたという偶然ですな。世の中、狭いものだ。
投稿者 webmaster : 2006年05月18日 23:24
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ありえないほど「世の中狭い」、と感じることがあります。
そんな時、 自分はやっぱり「マトリックス」の世界で飼われてるのだっ! と思うと妙に納得します。
そう考えるとワクワクしません? ウヘヘ
投稿者 ルイジアナゲーターボーイ : 2006年05月19日 21:41