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2006年05月24日  急性肺損傷における二つの体液管理方針の比較 [医学・科学関連]

たまには格調高く、The new england journal of medicine(NEJM)の臨床論文を引用することに。

要約:外傷性肺損傷に対する体液管理には、最適化された方法があるとは言えない。利尿と水分制限という通常の手段は肺機能を改善するが、呼吸器以外の器官の脱水を招くという危険がある。著者たちは一般的な手法(利尿と水分制限)を行った例と、他の臓器機能を重視して補液を多めにおこなった例、総数1000例について、治療開始から60日間の経過と予後を比較検討した。

その結果、60日の間の全死亡率は25.5%であったが、二つの対応方法の間に差は見られなかった。しかし、この期間内での人工呼吸器使用日数、集中治療室入室日数では、わずかではあるものの統計的に有意な短縮が通常管理の側に認められた。著者たちはこの結果から、外傷性肺損傷には、旧来から行われている水分制限管理法を選択するように推賞している。(要約ここまで)

えらくまともな論文紹介をしてきたのだが、ここで取り上げたのはその内容を紹介したかったからではなく、論文が使っていた用語に興味を持ったからである。

というのは、この論文では利尿をかけつつ水分制限を行う通常のやり方を"conservative"(保守的)と表記し、他臓器保護と循環動態の維持に主眼をおくやり方のことを"liberal"(いわゆるリベラル≒革新)と書いているのである。差し当たって不都合がでている所への対応を優先して、他のことは問題が出てきた時に考えるという立場と、全体的な調和を考えようとする姿勢を、保守⇔革新というような図式で捉えていいんだろうかと素直に疑問を感じてしまう。"conservative"はそう違和感はないのだが、"liberal"のほうがねぇ。

もちろん、英語で使われるコンサバティブとリベラルというのは、もっと広い意味合いを持っていて、私なんかが知っているような使い方はそのごく一部であるのかも知れない。なんて思って語源なんかを調べたが、結局よく判らなかった。単に対立概念ということで、気軽に使っているだけなのかも知れないけれど。

言葉の問題は別にして、医学的治療における方法論というのは、どんな分野であれ「目先のことだけをまず考える」というのがとにかく基本。中途半端に全体論的な立場に立つとロクなことがないのは明らかなんだが、こちらの方が大向こうに受けるのが困ったところ。

投稿者 webmaster : 2006年05月24日 21:55

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コメント

医療界で支配的な考え方に対してliberal、という意味ではないでしょうか?

なにかにつけ、ほっとけばなにも考えず先祖代々のやりかたを踏襲しがちな業界ですから。

投稿者 Aspirin : 2006年05月30日 00:47