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「NATROMの日記」の記事から。
「全国の医師数は2015年ごろから、必要とされる人数を上回ることが29日、厚生労働省研究班の推計で分かった。」(NIKKEI NETより)
「(医師の)供給は2035年ごろまで需要を下回り、医学部の定員を5%増やしても、30年ごろまではほとんど効果がないという。」(YAHOO!Newsより)
NATROM氏でなくても、「足りてるのか足りてないのかはっきりしろ!」と言いたくなるような話で、これは元の「厚生労働省研究班の推計」なるものが、なんとでも取れる奇怪な内容なのか、それを報じる側の問題なのか、まことに不思議と言わざるを得ない。
もっとも日経の記事からは、必要とされる人数は上回るが必要な所には配置されないというニュアンスを読み取ることが出来ないでもないので、基本的には報道側(特に毎日新聞)の無理解による一面的な表現があのようなわけ判らん記事の並列になるのだろう。
私には統計資料をじっくり読み込むような趣味はないので、自分の実感で言うしかないのだが、足りているか余っているかと言われれば、「足りている」というのが正直なところである。今の医学部定員が充分な数であることはすでに20年ぐらい前に指摘されていて、設備も充分でないのに定員を増やしまくっていた所はすべ減員した筈なのである。
ただし、その充分な数の医師が「適正」に配置されているかといえば、そうではないのは明らかである。日経の記事が言うように、病院の医師数は横ばいである一方、都市部の開業医数は増加しており、重症者や救急に対する医療が手薄であることは、すでに誰の目にも明らかであろう。
さて、この現状と今後の展開には三つの前提があり、どうもそれは公然と言ってはいけないようなのだが、ここで明らかにしておこう。私がそう思っていると言うことではなく、世の中がそういう前提に立っていると言うことなのでお間違いなく。
まず初めに、病院で働くのは割りが悪い行為であるため、機会があれは医師はそこを抜けたがる。そして、たとえ過剰であろうと、開業医は病院勤務医よりおいしい営業形態である。そしてこれが一番重要なのだが、開業医は医療全体の質の向上には寄与しない。
まとめると、医師はどんどん増えているが、みんな仕事が楽で儲かる開業医になってしまって、世のため人のための医療なんかしないので、医療の質は落ちるばかりというのが、厚労省が予測する将来像であり、それを追認するマスコミの意見というわけだ。当然、厚労省としての次の一手は、「適正な医師配置」を行える行政指導権≒利権の獲得であろう。
地域の医療の質を維持するために、自らの生活をなげうって奮闘しておられる(方もいる)開業医にしてみれば、ここまで愚弄されていいものかという話なのだが、その辺があまり表に出てこないのが不思議である。やっぱ、衰えたりとはいえ、医師会が営々と築き上げてくれた既得権は、まだまだタップリとしゃぶり甲斐があるので、医療全体のビジョンなんか知ったことか、と言うのがホンネなのかもしれない、というのはちょっと失礼な感想か。
病院と開業医が協力して医療を提供する=病診連携というような建て前はよく語られるのだが、実際は「おいしくない患者の押し付け合い」であるのが実態であって、うまくいっているとは言い難い。基本的な医療は地域の開業医がにない、重症例や救急医療を少数の総合病院が受け入れるというのはまことに常識的な方向なのだが、何故かうまくいかないのである。
山奥にでっかい総合病院を作って、医者が来ない、赤字だと騒ぐ理由がよく判らない。ヘリ搬送体制を整える方がよっぽど経済的であろう。中途半端な病院があちこちにある必要はなく、どんどん統合して行けばいい。街の開業医が増えてなにか困ることがあるだろうか。競争原理がプライマリィケアの質を高めるだろうし、専門的な医療といっても、妙に先端的な施設が必要なものばかりではない。
もっとも、そういう常識的な方向がなぜ実現されないかということを考えると、それは必ずしも厚労省の政策力不足とか開業医のサボりの問題だけではなく、利用者側にも責任があるといえる。要は安易な救急受診や、大病院への過剰な患者集中の問題であるが、そういう流れを作ったのはやはり専門家や短慮なマスコミであるわけで、すべて誰かに責任を押しつける訳にもいかないのが困ったところであろう。
なんであれ、妙な作為でいい結果になった試しはないのだから、あるがままに現状の推移に委ねるのがよろしかろうと私は思う。少なくとも、強権的な適正配置をする法的根拠なんぞをお役人に与える愚だけは避けて欲しいものだ。
投稿者 webmaster : 2006年05月31日 12:56
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まぁ、車の免許みたいに限定免許にすれば、その難度をいじることで、各科の配分をかえることができるかもです。誰にその権限を与えるかでもめそうですがw
今の状況では無理やり産科や小児科をローテートさせても、余計に嫌いになるだけで、それらを専門にする医者は増えないと思われます。
少なくて困っているなら待遇を良くするべきなのに、マスコミの議論はすっぽりというかあえてそれを無視していますね。
『馬を水場に連れて行くことはできても、無理に水を飲ませることはできない』と古来言いますね。関西では、『気ぃ~使わんと金使ぅてぇ~』とも申しますww
人数を増やせないなら、センター(集約)化すべきでしょう。
また小さな病院で大きなオペをやりすぎです、そのせいで麻酔科はあちこち呼ばれて良い迷惑です。こちらも集約してもらいたい。そのほうが、外科医の技量もあがるでしょうw
投稿者 はかせ : 2006年06月04日 13:42
たしかに日本の医師専門診療科バランスは多少おかしいのは事実です。でも例えば外科医なんかは世界標準より多いわけで、多少減らして総合的なことが出来る医師を増やすほうがベターでしょう。世間で思われているほど外科医の必要性は高くないのです。
産婦人科は昔から少なく、実際研修の時も以前は重視されていませんでした。私もプライマリィケアでは大概のことをやれと言われればやりますが、産婦人科だけはカンニンですね。
これも、研修でちゃんとお産への対処を教えるだけで、大騒ぎするような問題はなくなるのではないかと思います。そもそも、お産って病気ではないのですから。
困難例にちゃんと専門医が対処すればいいので、どんなお産にも医者がきっちりつけというのは、出発点で間違いだと私は思います。
あとは家庭医ジャンルをちゃんと確立することが必要でしょうかね。小児科医師不足も、その辺でかなり解決されるはずです。
投稿者 Webmaster : 2006年06月03日 00:35
こんにちは。地域的な配置も大事ですが、診療科のバランスが崩れているのも気になります。外科、小児科、産婦人科のなり手が減るかわりに、都会には人畜無害なクリニックが増えていると思います。今の制度では、研修医が専門を選ぶ際に半強制的な割り当てはできないのでしょうか?
投稿者 門外漢 : 2006年06月02日 21:43
地域によって事情は違うと思いますが、私の知っている僻地は何処も専門医がおらず、総合検診の出来る内科と外科が中心です。専門医が開業するのも経営的に不可能でしょう。しかし、リハビリというのは病気によって違うのでどうしても色々な専門医や専門技師が必要です。確かに大きな街まで出て行くと言う解もあるでしょうが、やはり一番理想的なのは専門医の巡回という事になってしまいます。もちろん、仰るようにその専門医が(患者を交えて)スーパーバイズに行くと言う形がより理想的ですが。
投稿者 ヘリで運ばれた者 : 2006年06月02日 02:03
>時間のかかる病気は定期的な出張サービスだけで十分だと思います
それこそ、充分地域の開業医が担える内容だと思うんですがねぇ。もちろん、専門家がスーパーバイズしに行くなら言うことないけど。
>精神科でも、少なくとも都会ではクリニックが増えてますよね(中略)精神科独特の事情があるんでしょうか?
いわゆる古典的精神病院が軽症例をないがしろにしてきたし、実際治療環境が悪すぎて対象にする能力がないという事情があると思いますね。自殺予防などのことを考えると、決して無視できない問題なのですが。
精神科クリニックが増えたのはいいとして、その質は玉石混交ですね(ってあまり人のことは言えないが)。玉石石石石玉石石石石石石というのが正直な印象。
投稿者 webmaster : 2006年06月01日 20:57
精神科でも、少なくとも都会ではクリニックが増えてますよね。これも他科で開業医が増えると同じ理由なのでしょうか?それとも精神科独特の事情があるんでしょうか?(精神科のクリニックも結構大変そうに見えるんですが。。。。。)
投稿者 遅れてきた少年 : 2006年06月01日 10:13
保健医療ほど競争原理と正反対の価格設定を行っているところはないと思います。通常の経済原理では例えば航空券の価格のように、混雑するところの値段を上げて、ヒマなところの値段を下げるようになっているのですが、病院では全く正反対です。これは消費者(患者)にコスト比較を行って選択する余地がほとんど無いというシバリがあるからできることなのでしょう。
投稿者 hikaru(nankado) : 2006年06月01日 03:00
コメント欄でははじめまして
>ヘリ搬送体制を整える方がよっぽど経済的であろう。
基本的には賛成ですが、いくつか留意点がいると思います。
ヘリ輸送の難点は天候に左右される事で、私の場合、吹雪の為にヘリが飛ばず、大学病院への搬送が半日以上遅れました。その間に病気が進行して全くしゃべれなくなり、大学病院に着いた時には呼吸器+麻酔で、病気に関する説明を受ける機会を全く失ったという苦い経験(3ヶ月間まったくしゃべれなくなるという事すら教えて貰えなかったので初期のリハビリに大きく影響している)があります。ですから、ヘリ輸送を主とする場合、テレビ電話か何かで患者と大病院の先生が話をする機会だけは与えてもらいたいものです。
もう一点、リハビリのように時間のかかる治療の場合、月に1〜2回でも良いから出張サービスをしてもらいたいというのがあります。大病院を僻地に作るかどうかの議論はall or nothingになりがちですが、時間のかかる病気は定期的な出張サービスだけで十分だと思います(私の所では、その出張サービスが削られて、私自身のリハビリにいろいろとトラブルが出てます)。
投稿者 5年前にヘリで運ばれた者 : 2006年06月01日 02:48
「悪貨は良貨を駆逐する」というのは、永遠の真理なんですねえ・・・
投稿者 skt48 : 2006年05月31日 18:55