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2006年06月01日  ワールドカップ蕁麻疹 [医学・科学関連]

[症例報告]38歳の男性が、両上肢、下肢、及び体幹部に出現した蕁麻疹を訴えて受診した。一週間前、彼はイングランド対ポルトガルのサッカー対戦をTVで見ていた。イングランドチームは期待はずれの戦いぶりで、試合は1-0でポルトガルの勝利に終わった。その時、患者は逆上するとともに、四肢体幹に蕁麻疹が出現するのを自覚した。発疹は36時間続き、次第に収まり、他の症状は見られなかった。

4日後、患者はイングランド対モロッコ戦をTVで観戦した。この試合の時も彼はイングランドのふがいない様子に逆上した。イングランドの選手の一人が退場になったとき、患者は怒り狂い、先日と同様な発疹が出現してきたのを自覚した。彼は翌日受診し、その際に消失しつつある発疹が観察された。

患者はそれまで薬物投与は受けておらず、アレルギー疾患の既往もない。また、特別な食事も摂っていなかった。その日、患者は抗ヒスタミン剤の処方を受けている。

[考察]蕁麻疹の原因には、薬物、化学物質、食物や種々の感染に対するアレルギー反応などの様々なものがある。コリン性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、日光蕁麻疹や妊娠時蕁麻疹などの、物理的刺激が原因となって起こるものも知られている。

心理的要因によるものも稀ながらあるとされ、330例の再発性蕁麻疹を対象にしたジューリンの調査では、7%の患者が発症に先立つ感情的ストレスがあったと回答している。ピスチナーたちは、詐欺の被害にあったと知った人が短時間で重度の蕁麻疹を起こした例を報告している。しかし、心理的要因による蕁麻疹発症のメカニズムはまだ解明されておらず、報告例も少ない。

本例は、明らかにイングランドサッカー観戦によるフラストレーションが原因となった蕁麻疹の、最初の症例報告である。(以上全訳:元論文(PDF)はこちら

この症例は1986年、メキシコで行われたワールドカップ大会の際に観察された。予選の間、イングランドチームは絶不調で、初戦のポルトガル戦は1-0で敗退、第二試合のモロッコ戦は0-0の引き分けであった。3戦目のポーランド戦でようやく勝ちを拾い、本命のポルトガルチームがストライキを起こしてイングランド戦以外を落とすというハプニングで、ようやく予選を突破したという事情があった。

この大会はあのマラドーナの大活躍があった時で、結局イングランドは本戦二戦目で、マラドーナの「神の手」ゴールによって敗退することになる。予選の不調で蕁麻疹に悩まされたあの男性が、神の手にどんな反応を起こしたのか、そこまで書いてあれば歴史に残る有名論文になったのではないだろうか。

この時のアルゼンチンとの遺恨に加え、フォークランド紛争までが重なり、因縁の戦いとなった1998年のワールドカップフランス大会の決勝トーナメント第一戦では、両者一歩も譲らず結局PK戦によってアルゼンチンが勝利した。この試合当日と翌日、イングランドでは心筋梗塞による入院が25%増加した(こちらを参照のこと)。蕁麻疹ぐらいの話では済まなくなったというわけ。ゲームなんだから、もっと気楽に観戦したいものですな。もちろん、今年のドイツ大会もね。

P Merry MRCP. "World Cup urticaria" Journal of the Royal Society of Medicine Volume 80 December 1987 p779

投稿者 webmaster : 2006年06月01日 20:32

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コメント

私もエビで蕁麻疹が出ることがあるのですが、そのときも副腎皮質ホルモン以外、何を使っても効きません。困ったものです。

一度、野菜の掻き揚げを食べたら中に桜エビが入っていて、たちまちのうちに蕁麻疹が出たのですが、あとで調べてみたら刻んだニンジンでした。これも心因性の一例かも。

投稿者 Webmaster : 2006年06月03日 16:44

わたしのジンマシンも、難治性というか心因性を疑われてます。抗アレルギー剤は一切効果なく、効くのはセレスタミンのみ。今は漢方治療に切り替えて、なんとか抑えてはいますが・・・先日の株の暴落、続く新興暴落と続落ではかなりショックを受けまして、ジンマシンを再発させました(苦笑)

投稿者 じんましん患者 : 2006年06月02日 15:06