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2006年06月19日  怪物たちは何故好まれるのか? [医学・科学関連]

カリフォルニア州立大学ロサンジェルス校メディア心理学研究室が昨年発表した論文、「映画に登場する怪物たちの心理学的アピール性」"The Psychological Appeal of Movie Monsters"(PDF)から。

「映画に出てくる怪物の中で、あなたがもっとも気に入っているものは?またその理由を述べてください」という質問に、米国全体から1166名の回答が寄せられた。回答者は男女同数だが、文化背景は異なった層に分布しており、年齢は16歳から91歳の幅があった。

結果は男女差、年齢層をとわず、吸血鬼ドラキュラが怪物の王座を占めた。若干の例外はありつつ(例えば女性は『スクリーム』の殺人鬼をよりセクシーと感じ、『チャイルド・プレイ』のチャッキー人形を男性より好む傾向があった)、男性と女性の好みには大きな違いはなく、好む理由もほぼ同じであった。

予想されたことだが、より若い層は最近のより暴力的で大量殺人をおこなう怪物を好み、好む理由もその殺人能力そのものに依っていた。高年齢層は非殺人鬼系を好み、選択する理由も怪物自身の苦悩や感受性、一般社会からの孤立をあげる傾向があった。

若い層も、古典的な怪物映画のキャラクターである、フランケンシュタインやキングコングを評価していたが、逆に高齢層が最近の映画にでてくるキャラクター、例えば「ハロウィン」のマイケル・マイヤーズを好むようなことは見られなかった。総体的に言って、怪物たちはその知性と人知を越えたパワー、人間存在の暗部を照らし出す能力によって評価されると言える。(以上、抜粋より)

全年齢層が選んだベスト10は(1)ドラキュラ、(2)フレディ(『エルム街の悪夢』)、(3)ゴジラ(ただし日本製)、(4)フランケンシュタイン、(5)チャッキー、(6)マイケル・マイヤーズ、(7)キング・コング、(8)ハンニバル・レクター、(9)ジェイソン(『13日の金曜日』)、(10)エイリアン(あの『エイリアン』)というところ。

元論文を読んでも、もう一つ回答者の年齢構成がよく判らないのだが、好みの怪物別回答者平均年齢をみるとせいぜいが50代なので、どちらかというとベビーブーマー以降の回答者が多いようだ。若い世代はエキセントリックなだけの怪物でも満足するが、歳を取るとともに、それなりの存在の重さを備えた怪物が好まれるというのは、まあ当然と言うところでありましょうか。

同じような調査を日本でやれば、TV怪獣の影響で好みがまず分散してしまい、とても統計的な傾向を出すようなことにはならないだろう。それを承知で一票を入れるとしたら、私の場合は「アンギラス」かなぁ。ゴジラの初代噛ませ犬という誕生経緯が同情をさそう。でも、二回目に出てきたときには正義の味方になってて、それはそもそもゴジラ自身がそうなので、子供心に不思議に思ったものだ。

初めて精神医学論文みたいなものを書こうと思ったとき、このゴジラ-アンギラスのことが頭にあったので、死と再生の過程で両義的存在が聖なるものとして純化される例として症例考察に使ったら、指導医から「お前はアホか」という正しい評価をいただいてしまった。あれでふて腐れなけりゃ、今頃大学でのんびり文献読み生活してられたかもしれんなぁ。ま、考えて見りゃたいして変わらん生活してるんだが。

投稿者 webmaster : 2006年06月19日 23:59

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コメント

サブカルとトンデモの狭間を漂いつつ、怪獣映画に見る日本人の南方崇拝や怪獣番組に見る異形信仰なども論じられ。

細かく分析すると果てがありませんが、宇宙人のデザインモチーフにドゴン族の仮面彫刻など持ち込みつつ、プリミティブな意外性を具象化するという。

「地球人を否定する意で、目の形にぽっかりと開いた眼窩と鼻の形にへこんだ顔の中央」というのはデザイナー本人の弁。
これは埴輪でしょうか。

>怪物たちはその知性と人知を越えたパワー、人間存在の暗部を照らし出す能力によって評価されると言える。

となるとやはり「オペラ座の怪人」が。

バルタン星人は僕らの世代には絶対無比な人気を誇りますが、デザイナー本人によると蝉型の宇宙人に苦し紛れにハサミを付けてみたに過ぎず、生物感に乏しい不本意な作品であるとか。

>死と再生の過程で両義的存在が聖なるものとして純化される

「大魔神」とか挙げてみたりして(笑)。
武人アラカツマの魂を宿す大魔神は悪代官も村人も見境無く蹴散らします。
彼も二作目からはずいぶんと分別臭くなりました。

投稿者 小狸工房 : 2006年06月20日 22:27

昔の映画に出てきても、なんらかえりみられることのない怪物たちは山ほどいるわけです。例えばカリガリ博士のツェザーレはアルファ版としての名誉は担えても、それ以上にはならない。

やはり何らかの象徴性を偶然にでも持つことが必要なのでしょうね。

投稿者 Webmaster : 2006年06月20日 22:22

 個人的には、怪物映画の歴史とゆうファクターをどう考えているのかが気になります。

>歳を取るとともに、それなりの存在の重さを備えた怪物が好まれる

 とゆうよりも、歳を取った人が若いころよく見た怪物映画が、存在の重さを備える傾向があるとも解釈できるのでは?

 また、ドラキュラといってもコッポラのやつと70年代のものはかなりイメージが違うんだけど・・・

投稿者 みやひろ : 2006年06月20日 21:13