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2006年06月20日  福井日銀総裁は非難されるべきか? [社会・歴史]

滅多にやらない床屋政談を。

福井日銀総裁が就任前に、あの村上欽ちゃんファンドに高々1000万を出資していたことが判明し、言い訳というか、居直りに大わらわということが、そう盛り上がりもなく報じられている。本人も、その後ろ盾のコイズミさんも、このまま問題なしで済まそうとしているのはミエミエで、多分ひと月もしたら忘れられそうな気もするが、あえて触れてみたいと思う。もちろん、論拠は自分の気分だけなので、あんまり真面目にとらないで欲しいのだが。

いわゆるパワーエリートを自称するような人(ま、いろんな意味がありますけど)が書いたブログを読むと、皆そろって「福井総裁の出資はまったく法的に問題ない」という立場で、「出資なんか個人の自由じゃん。シホンシュギってのはそうやって成り立っているんだから、ビンボー人がやっかむんじゃないよ」というのが、煎じ詰めればその主張。

誰がどう言っているのかいちいちあげつらわないが、旧態依然たるサヨク見解から福井総裁を非難する論調に対して、冷笑的な姿勢を示すのがお約束。最近、読むと痛々しい気分になってしまうので、あまりそのご高説に触れていない「極東ブログ」にも、勇気をふり起してさっき読んでみたら、ちゃんとその定式にそった記事があったので大笑い。

実は私自身も、福井氏の出資に法的な問題があるとはまったく思わない。だって、割のいい儲け話に乗ってはいけないなんて法律がある?結果論ながら、数年で元金が倍以上になったんだよ。銀行に一億の定期預金があったって、数十万の利息がつけばいい方なのに。元金は保証されないとはいえ、最近は銀行だって同じことなんだし。

もし私にタップリ余った金があって、才覚あふれるファンドマネジャーとのコネがあれば、そりゃ多少無理したって出資するに決まっている(前提が間違っているので、この命題は成立しないが)。まして、その手の内をよく知っていたり、援護射撃が出来る立場にいるならなおさらである。素人が根拠のない高利回り詐欺話に引っかけられるのとは違うのだ。カネの流通を知り抜いた連中が、順繰りに政策に関わるんだから、その時だけは労力持ち出しで我慢しておけよ、というのは無理な話である。

しかし、それでもなお、私は福井氏の行為は金融行政トップには認めがたいものだと思う。もちろん誰だって、トップに多少の役得があることなんか当然だと思っているのだ。「井戸塀」なんて言葉が欺瞞であるのも知り抜いている。ただですね、それを露骨に白日の元にさらされてしまうと、シラケるしかないのだな。要は、「容易にバレるようなことをしていたのがイカン」というのが私の意見。

あくまで公平性と機会均等が前提になっている(ことになっている)経済原則がありつつ、実際はあの手のコネとズルが横行しているという、一応誰でも知っている事実をあえて明白にしてしまったというのは、彼の立ち位置には許されない過失であろう。彼らが死を賭しても守らねばならないのは法的な整合性などではなく、正義と公平という幻想そのものであるはずだ。幻想なんだから極めてご都合シュギで、結果論で文句をいわれることがあるのだが、そこを意識していないのは致命的である。

そんな訳で、福井氏は辞めた方がよかろうと私は思う。そうすりゃ、これからコネを駆使して儲けまくったって、誰も文句は言わないんだから、本人だって内心ではそうしたいのじゃないかな?もちろん、国家経済そのものにもそちらの方が好影響を与えるはずだ。すでに恵まれている連中の確実な利害を擁護したと思われるより、公平性の幻想を守って、ド素人からカネを巻き上げる道を広げる方が、絶対効果的でありましょう。

投稿者 webmaster : 2006年06月20日 22:26

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個人的な興味から、はてなの人力検索サービスで「日銀福井総裁去就についてのアンケート」を行ってみました。人力検索はてな - 日銀福井総裁の去就についてアンケ... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年07月03日 13:51

コメント

これはルール(法的)ではなくモラルの問題だと思う。
いわゆるパワーエリート、えらい人の権利は一般人よりも制限されているはず。一般人がやってもいいことでもえらい人がやっちゃいけないことはある。
法的に問題が無いからといっても、日銀総裁って言う立場から問題だろう。
つーわけで、やめるやめないはともかく何がしかの責任はとらなくちゃいかんと思う。

投稿者 kimo : 2006年07月01日 12:05

これまでの議論を拝聴していると、福井総裁の利殖行動ばかりが取り上げられて対象になっているようです。
ここでは小泉総理によって福井氏が総裁に任命された時の手続きのことを考えてみます。
よく日銀総裁は日本国政府のお金を預かる金庫番だといわれますから、政府による日銀総裁選びの厳格さは普通のサラリーマンのそれとは格段の相違があるでしょう。
福井氏が政府に提出した履歴書ないしは身上調査書等には福井氏の資産・財務の状況が詳述されているはずです。金庫番が破産者だったらとんでもないことですから。
問題はその際に福井氏が真実を申告していたかどうかです。
真実を記載していなかったら、不実記載、詐称などに問われないでしょうか。
またもし福井氏が真実を記載していたのであれば、それを過小評価して容認し、福井氏を総裁に任命した政府側が任命責任を問われるでしょう。
私たちが就職時に会社に提出する書類はこういうときのためにあるのでは?

投稿者 新人 : 2006年06月29日 06:53

「嫉妬」しているのなら、わざわざ引き合いに出してくるでしょうかね?あくまで私の想像なのですが、こちらの先生と極東ブログやスミルノフ教授公式ウェッブサイトの著者とは、かなり親しい、おそらく現実世界で直接面識があり気心が知れていて、「おまえ、おれ」で呼び合えるような間柄ではないかと推察しています。

投稿者 スポック : 2006年06月26日 23:41

webmaster様、この記事ではなにか妙に余裕がないようですが。

投稿者 furukawa : 2006年06月26日 00:04

>最近躍進してきた極東ブログに対抗心から嫉妬してませんか?

前からここを読んでいたら、私がしばしばあそこを引き合いに出すのはご存じの筈。実は、著者とその個人的事情は、ああいいう形で「躍進」する前から知っている。

彼は素晴らしい教養を備えている万能の知識人だと思うが、それを今、極めて歪んだ形で使っていると感じております。何故そうされるのか、事情を察しないでもないので、「人間というのは、悲しいモンだな」というような反応になってしまうんですけどね。

それと、下世話であろうが、そう私が考えるということを書いて何が悪いんですか?「道義」なんて、私の語彙にはないので使いようがないだけです。気にいらんのなら無視しておけばいいでしょう。よくあるクリシェだというなら、いちいち反応して、それこそ下世話な心理分析までしていただくことはありません。高みから教育的指導していただくのは有り難いが、見当はずれなので失笑するしかない。私、いままで「在野精神」なんて姿勢で物言ったことがありましたかねぇ。

パワーエリートのブログの例として、霞ヶ関官僚氏のブログなんかが頭にあったのだが、そういうのはご存じではないのですか?読んでみりゃ、私の言う例にぴったりだというのが判ると思うけど。

投稿者 Webmaster : 2006年06月25日 09:57

ひょっとしてあなた、最近躍進してきた極東ブログに対抗心から嫉妬してませんか?
 パワーエリートって一体誰のこと言ってるのか私には解りません。
 そんな輩がネット上で跋扈している、というのも、ひょっとしたら、あなたの勝手な思い込みかもしれません。

 あなたは、一方でそのパワーエリートをこき下ろす必要から福井総裁は辞めるべきだという。
 しかし、一方では法的に問題はない、とする正論を無視するわけにもいかず、相反する矛盾を解消するために、「ばれた奴が悪い」と云う実に下世話な主張にひた走る。
 二重の論理で、そのパワーエリート(とあなたが思い込んでいる)人たち、を批判し、その上虫のいいことに、彼らからの批判をかわそうとしている。
 何故、法的な問題はともかく道義的に問題なのだ、という正論であなたのいう所謂パワーエリートに対抗しないのでしょうか。
<サヨク的な見解に冷笑的な姿勢を示すのがお約束>
 しかし、あなたの所謂パワーエリートに対する対抗心からちらつかせる、見かけだけの在野精神も私からみれば、同じように定式的なお約束事に過ぎない。

投稿者 hipsdio : 2006年06月25日 09:02

実利の人、田沼意次。
硬直化した行政組織内にあって袖の下を有効に用い数々の改革を実行した人物。

今回の一件はこうした詮索に囚われるが下策。

投稿者 小狸工房 : 2006年06月24日 16:48

noblesse oblige ってのがありますし。
女衒だって売り物に手ぇだしたら下の下ですしね。
ただ、清濁色々ですけど、輿論というかそう言うものに対して、
なれ合いの見極めを誤った、のかな、と。
日銀の支店長会議の内容とか聞いちゃうと、色々思うところはありますけどね。
鶴亀鶴亀。

投稿者 喉から手 : 2006年06月24日 04:24

私は捻くれ者なので、もし一度もズルがバレない役人がいたら「あいつは怪しい、ぜ~ったいに怪しい」と疑心暗鬼に陥ってしまいます。むしろ、法すれすれの悪代官を演じてくれる方が「正義と公平という幻想」を夢見ることができるような気がするんですけど・・・「越前屋(福井=越前)おまえも悪よのぅ」「法には触れとらん、誰も文句は言えんじゃろう」・・・お役人はこうでなくちゃ。

投稿者 スポック : 2006年06月23日 16:26

>根拠のない言いがかりは慎むべきです。

あの、いい加減にしてもらえます?ロジックと主張の区別がつかず、自分の思いこみと議論する人とはつきあいかねます。一度頭のブリーチしたほうがいいのでは?

投稿者 webmaster : 2006年06月22日 23:20

>もちろん誰だって、トップに多少の役得があることなんか当然だと思っているのだ。

 福井総裁がどのような役得を得ているというのでしょうか? 批判はあっていいと思いますが、根拠のない言いがかりは慎むべきです。
 前任者の超金融緩和で水ぶくれになった株式相場を、福井総裁は金融引き締めで下落させた。この場合株を持っていて、しかも売ることができなかった福井総裁は、”役損”を蒙っていること明らかです。
 むしろ、自らは株を保有しながら、金融緩和継続の圧力をかけ続けた人たちこそ、一種の役得を享受しようとした人たちといえると思います。

投稿者 bleached_brains : 2006年06月22日 20:24

李下に冠を正さずって言葉は「疑われないように律する」という意味で使われますが、考えてみりゃ盗人ってのはそんなわかりやすいことしないからその職業を続けられるわけで。となると、この言葉は「スモモ盗むならわからないようにやれ」って意味にもなりますな。

でもまあ、たまにこういうわかりやすいやつがいるからこそ、愚昧の徒はわかりやすい盗人像を捨てずにいられる、陰に徹してる輩を見ずにいられるのかもしれません。実は、福井総裁はそういう役目を担っているのだったりして。

投稿者 TM : 2006年06月22日 11:19

>国民の大多数は、福井総裁がやってきたこと、やろうとしてきたことを、理解できていないようです。だから、見当違いの批判が出る。

こちらの主張とはまるっきり噛みあっていないので、論争する気もありませんが、いかにもという定型的エリート擁護論ですねぇ。愚昧の徒どもが、彼の高邁な志を理解せずに叩くのは許せないというわけですね。

べつに彼が損失覚悟で出資しようが関係ないでしょう。愚昧の徒どもにズルだとやっかまれる可能性にまるっきり無頓着だったというのが、彼のエグゼクティブセンスのなさだと言っているだけなんで。

そこに結果論が加わったのが今回の「不徳」の正体。法的に問題なけりゃいい、と言うことではないのが判ってない。愚昧の徒たちには、うまく騙してくれることこそが必要なんだ、ってのが私の意見。

それに、誰も任官時に解約しろなんて言ってませんよ。反論する時は相手の文章ぐらいは読みましょう。

投稿者 Webmaster : 2006年06月22日 00:15

国民の大多数は、福井総裁がやってきたこと、やろうとしてきたことを、理解できていないようです。だから、見当違いの批判が出る。

福井総裁は、金融の超緩和状態を改め、金融を引き締め、ゼロ金利政策を終焉させて金利を復活させようとしてきた。国債をバンバン発行して、無駄な道路を作りたがっている政治家たちの圧力に抗しながら。

金融を引き締めたら、株や、株で資金を運用しているファンドは、普通は値下がりします。だから、福井総裁は、自身の推し進めてきた金融政策で、相当の損失を出す可能性があったし、事実蒙ったと見て間違いありません。

役得を得た形跡は全くありません。
もし、総裁就任の前に株を処分し、その上で金融引き締め政策を行ったのだとしたら、これは明らかに役得(売り抜け)ですが、そういうことをやったという話も聞いていません。

”役得”っていうのは、誹謗中傷の類でしょう。

投稿者 bleached_brains : 2006年06月21日 22:19

 米国だと国家公務員の上級職についているあいだは、金融資産は特定の信託に任せて、投資ファンドとかは使えない決まりではなかったですかね?

 辞めてからはまぁ好きにすりゃいいですけど、金融関係で現職官僚が村上ファンドというのは疑いを持って見られても仕方がない。露骨に反発を買いそうなことは、合法でも避けるべきなのは常識じゃないですかねぇ。

 現役の時に役得役得と走るのは、下品で凡そ下手のすることですな。

投稿者 はかせ : 2006年06月21日 16:45

今日の記事については、まったく同感です。

投稿者 scarab : 2006年06月21日 15:18

さる席で

「役得でもなけりゃこんな仕事やってられるかよ」

という素晴らしいコメントを頂きました。
あーゆー席では余計な口を訊かず黙って横でニコニコしていると傑作なエピソードが漏れ聞こえてきます。
彼らがこうですから上の方はなおさらでしょう。

投稿者 小狸工房 : 2006年06月21日 00:49