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2006年07月18日  人格障害解説花盛り [医学・科学関連, ニュース]

秋田小児連続殺人事件で逮捕された例の母親に対して、私が見聞きする限りでも、精神医学関係者が診断名を付けて解説する例がしばしばみられる。たしかあれは2週間ほど前、まだ事件の全容がはっきりしていなかった時に、どこかの心理学者が「反社会性人格障害」だとしていたのが最初だった。

自分の子供も川に投げ込んだという供述をしたというニュースの時、TVで犯罪精神医学者が「演技性人格障害」だと言っていたのが二度目。そして今日、毎日新聞の記事(ウェブ魚拓キャッシュ)では精神病理学者のN氏が「虚偽性人格障害」という御高診をしておられる。

すべて人格障害レベルの診断で、たいして違うものではないともいえる。虚偽をイケしゃあしゃあと述べるためにはそこそこの演技も必要であろうし、そういうデタラメを押し通す行為はまさしく反社会的だと言えるのだから、ちょっとしたニュアンスの違いなのだと強弁することも可能だろう。

実際、WHOの国際疾病分類やDSM分類が、装いも新たに再導入してくれたこれらの人格障害概念はまことに便利なもので、診断書とか役所に出す書類を書くときには実に役に立つ。状態像であったり、原因論だったり、昔ながらの仮想的な疾患概念だったりする診断名が、まったく同列のものとして羅列されたこれらの障害の一覧を眺めれば、まずどれかに無理矢理結びつけることは出来るので、差し当たってもっともらしい決めつけをするのは簡単なのである。

でも、こういう「診断」は泥棒を窃盗犯と言い換えているのと同じことで、同義反復でしかない。ましてや、その行為のある側面を取り出せば、いかようにも言い換えられるような専門用語に翻訳して、それが何の役に立つのか。事件の解明にもならず、もちろん予防の役にも立たない。診断分類表を眺めていれば、誰にも出来るような決めつけをもって、専門家ぶるのはじつにカッコ悪いことだと私は思うのだが、そういう行為への誘惑には抗しがたいものがあるようだ。

この際、似非専門家コメント表現性人格障害という診断名を、既存の分類に加えるというのはいかがなものか。

投稿者 webmaster : 2006年07月18日 23:48

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コメント

「誰にも出来るような決めつけをもって、専門家ぶるのはじつにカッコ悪いことだと私は思うのだが、そういう行為への誘惑には抗しがたいものがあるようだ」

たしかに、高みから断定的なもの言いをするのってどこか快感を伴うところがあるみたいですから。

専門家が垂れたご高説なんかを真似してみて同じように決め付けがましいことを周囲に撒き散らして(その快感に浸って?)みたり、あるいは、事件か何かから受けた不可解さなんかを何とか解消するために専門家の言説を鵜呑みにしてみようとしてみたり、そんな利用の仕方をマスコミに対してしている側面が、わたしたち視聴読者の多くにある限りは、快刀乱麻を断つようなもの言いの専門家がマスコミでは重宝されること請け合いでしょう。

スパッと人間の「こころ」を言い当てられたら、ほとんどの人が、これほどまでに生きることに苦労しないでしょう。いや、他人の「こころ」がわかってしまうために、苦悩する人々が大発生してしまうかもしれないかもですね、それはそれで。

投稿者 nadmirer : 2006年07月23日 04:26

>この際、似非専門家コメント表現性人格障害という診断
>名を、既存の分類に加えるというのはいかがなものか。

おっしゃるとおりです(爆笑。

投稿者 ヨシダヒロコ : 2006年07月20日 04:01

精神医学や心理学関係者がコメントする時、断定して病名や症状を言っている方をみると、それだけで精神医学や心理学が誤解される気がして、良くないな、と思います。
偉いことは言えないのですが、しかし、心理学を学んでいるというだけで「心が読めるの?」「私がどんな人間か教えて」と言われることがあり、うんざりすることもあります。
精神医学や心理学を学んだだけで他人のことがすぐ分かってしまうのであれば、精神医学や心理学はすでに義務教育になってますよ、と返事をしているのですが、理解してくれない方はなかなか分かってくれません。

同じ事だと思いますが、その人の心の病気だとか、性格の傾向だとか、そういったものを詳しく知るためには、その人に直接会って話すことが必要だと思います。
高名で経験のある先生方や教授方でも、判断を下すのが難しい場合もあります。
それを忘れ、メディアで断定して話している方を見ると本当に複雑です。
しかし、たまに、「報道で判断する限りでは」「〜といった側面もあると思います」といった言い方をなさる方もいらっしゃいます。それで良いと私は思うのですが、メディアとしては伝えにくいから嫌われ、視聴者は「断定して言えないような"できない"学者は出すな」となるようです。

テレビというメディアの性質を考えれば仕方のないことかもしれませんが、それでも、こういった傾向に疑問を持っている方が結構いらっしゃると分かって、ほっとした次第です。
ついつい長文になってしまいました。すいません。

投稿者 なむど : 2006年07月20日 01:33

秋田の殺人犯は「代理によるミュンヒハウゼン」かと思っていました。
「殺人被害者の母」になれなくて、さらに次の殺人も。で、うちの子も殺人です!!といいたかった、と思っていたんだけど。

投稿者 どぱみん : 2006年07月19日 21:31

秋田の事件もそうだけど、最近テレビで記者会見する人物がやたらと演技過剰に感じられるのは私だけ?

投稿者 みやひろ : 2006年07月19日 21:07