10年ちょっと前に、合成うま味調味料の「味○素」は人毛から出来ている、という噂が立ったことがある。この噂はかなり根強く、このメーカーのCMでは噂に対抗するためか、「天然のサトウキビから作られています」という、とってつけたような宣伝文句が今も添えられている。
この噂の素はそもそも、かの調味料の主成分であるアミノ酸化合物、グルタミン酸の抽出製法を明治41年に開発した池田菊苗博士が、その工程の副産物からアミノ酸醤油という代用醤油の製法を案出したことにあるようだ。
池田博士の製法は、昭和の戦時物資不足のおり、工業化されて伝統的な醸造醤油に一時的に置き換わった。このころ、材料としてかなり怪しげな「タンパク資源」が使われていたことが、逆に本家の調味料にまでも疑惑の目が向けられる原因となったものであろう。メーカーのウェブサイトには、池田博士は「小麦や大豆などの植物性蛋白質から抽出」したと明記されているので、一応信じておいてもいいような気がする。
ところが、醤油発祥の地である中国で、まさしく人毛を原料とした醤油が生産され、大々的に市販されていることが2年前に報道されていた。この工場は全国の病院、理髪店などから人毛をあつめ、それを材料にアミノ酸醤油を作っていた。当局は報道を受けて、材料に人毛を使うことを自粛するよう、工場に申し入れたらしいが、法的な根拠がないことから、未だにその生産販売は続いているのだという。
昨年発刊されたThe Internet Journal of Toxicologyに掲載された香港安全ネットワーク研究施設のLee教授による論文では、この製品には材料自身の汚染と、処理過程の化学物質残存という二つの問題がありつつ、「最新のバイオ科学技術を使用した」という記載以外、材料についての説明がなされぬまま市販されているという。
たしか、中学理科の実験で、このアミノ酸醤油という奴を作った覚えがある。カマボコを細かく刻んで塩酸を入れて加熱し、水酸化ナトリウムで中和させたように思う。塩酸と水酸化ナトリウムで食塩が合成されるので塩味も付き、まことに合理的なものだと感心した。
検索してみると、戦前から女子栄養大学が出していた「栄養と料理」という雑誌のアーカイブがあり、そこに「実験室でのアミノ酸醤油の作り方」という昭和19年の記事が残されている。製法はほぼ記憶通りであったが、問題は材料である。「蛋白資源に富むもの」とあり、鰊の〆粕、大豆粕が挙げられているが、その次が「蛹」。当時いくらでも手に入った蚕の蛹を使うという、インパクトに満ちた戦略である。最後のつぶれて読みにくい漢字も気になり、まさかとは思うが「蛆」と読めるような……。それとも鰮(イワシ)ですかな。ちょっと安堵。
少なくとも代用醤油では本家の我が国、中国の方々の発想に負けていない。あくまで「実験室で」作られていただけ、と思いたいですな。(Via)
投稿者 webmaster : 2006年08月01日 13:16
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このリストは、次のエントリーを参照しています: 合成醤油の作り方・中国版vs日本版:
» 毛髪から醤油が作れるらしい from おやじまんのだめだこりゃ日記
医学都市伝説: 合成醤油の作り方・中国版vs日本版によると、アミノ酸醤油という代用醤油の製法を用いれば、髪の毛からも醤油が作れるらしい。実際に中国では人毛... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年08月08日 09:45
あ、そーか、糸繰りの際には繭を湯通ししますから、ついでに蛹も程好く茹で上がるのかしらん。
先のざざ虫でもそうでしたが、偏見の目で見てはいけません。
問題は茹でるタイミングですね、幼虫が蛹の中で一度ゼラチン状に分解された頃ならゆで卵みたいになりそう。
あらかた蛾に成長してしまっては粉っぽくていただけません。
けどダニって芳香物質を分泌するのね、知りませんでした。
ホントに風味が増すのですね(笑)。
投稿者 小狸工房 : 2006年08月20日 00:09
フランス料理の素材のマッシュルームなんて、もともとは馬糞堆肥で培養するきのこではないですか。あれは、メロン栽培用温床の熱源堆肥に自然発生したハラタケを栽培化したものです。
蚕の蛹は、あれはもともと人間の食うものですね。長崎県で長年養蚕指導をしておられた技術者の方に、昔は糸くりをしながらよくおやつに食べたものだよと教えていただきました。その方から糸を取って繭から出したばかりの蛹をたくさんいただいて食べたことがありますが、ゆでたての蚕は実に美味でした。
私は、蚕の飼育は食用にする蛹の獲得目的で始まったのが、糸の生産が主体に移っていったのではないかと疑っています。
チーズのダニは、もしかするとカビなどを捕食して表面の微生物コントロールに寄与しているかもしれません。あと、無私できないのがこの手のダニがコナダニ類だということでしょうね。コナダニ類の体の後部には1対の分泌線があり、そこにシトラールや蟻酸ネリルといった芳香物質が蓄えられています。この物質は、環境の微生物コントロールに役立つ静菌物質としてや、警報フェロモンとして機能しています。
投稿者 ウミユスリカ : 2006年08月15日 17:32
メジロさんを呼びたいんだけどメジロさんの前にハトやスズメやカラスさんが来てしまって実家へ戻るまではダメカァと泣く。実家は庭が親の菜園化していて今時期はトマトやトウモロコシが大量に来る。
トリパン生活したい。
http://e-morning.jp/manga/toripan.html
スズメって本当にお米から作ったノリを食べるのだとトリパンで知った。舌切り雀はウソじゃなかった!!
メジロさんのステキ写真。餌台設置のステキなおうち・・・
http://pub.ne.jp/dk_hanaya/?entry_id=43510
投稿者 ネムネム : 2006年08月03日 09:05
件のチーズはダニの生態に関する外国のドキュメンタリー番組で紹介されていました。
「チーズの表面にある種のダニを発生させることで風味を増す
…と言われている」
という表現になんとなく引っかかるのでありました。
僕が子供の頃はこちらでは納豆を扱っている店が極端に限られましてね~。
当家は割合頻繁に口にしていたのですが。
おかず作るのが面倒なときにはとりあえずこれがあれば食も進むし。
全然関係無い話。
この季節には当店では米糀なども仕込みます。
うるち米をステンレスのドラムで蒸して糀をまぶすのですが、床にこぼれたお米は掃き集めて外へ撒いておくとスズメさんが食べに来ます。
近頃は図々しくなって換気口から工場内に侵入し勝手に食べています。
あまつさえ洗い上げて水を切ったばかりのお米まで食べてたりして。
こ、こらっ、それは食べちゃいけなんだよォ!
投稿者 小狸工房 : 2006年08月03日 00:27
ミモレットさん。元気なダニ付き
http://www.cheesemarket.jp/mimo1.html
本当にいいチーズで仕上げたパスタは物凄く美味なんだろうなぁ。店構えや値段くらいじゃホントに材料が吟味のものかわかんないですもんねぇ。
投稿者 ネムネム : 2006年08月02日 23:51
嫌韓厨がいい加減な噂を流しまくるので、この手の話は不毛になりがちですが、常識的に考えて腐敗菌で発酵食品を作ることが出来るわけがない。ネット情報はバイアスかかりすぎ。
例えば狭量な関西人にはいまだに、納豆に対して「豆を腐らせたものなんぞ食えるか」という態度を取る人がいますが、あれと同じですかねぇ。
北欧の発酵イワシ缶詰、シュールシュトレンミング(だったっけ)とか、コルシカ島のウジがピョンピョン跳んでるチーズとか、ミモレットみたいなダニまみれチーズとか、滋賀の鮒寿司とか、かなりキツイ発酵食品はちょっと見ヤバ目の製造過程を経ていますが、衛生面では合理的だし、なにより旨いものは旨い。
もっとも、私は上記のうちチーズ系以外はいまだに食べられません。
投稿者 Webmaster : 2006年08月02日 22:16
少し説明が不足していましたが、つまりは
「偏見による誤解である」
と言いたいわけで。
投稿者 小狸工房 : 2006年08月02日 20:29
醤油ではないのですが、10年ほど昔、インド人の髪の毛からアミノ酸を製造する過程をレポートするNHKの番組がありました。床屋から髪の毛を専門に回収するカーストがあるので非常に都合が良いと日本の商社マン?が語っていたように記憶しております。「味○素」で使われているかどうかはともかく、調味料として日本で使われていたことは間違いなさそうです。
投稿者 hihoda : 2006年08月02日 20:15
韓国ネタはネットだとメチャメチャになるので、私信的であり
ます。
以下本文
厳密に言うと、ホンオを作る場合、亀の中に温度を上げるために堆肥を敷きます。しかし、完全に発酵してるため、臭いは無い訳です。また、堆肥の上に置くのではなく、瓶に張り付けるようにして、接触はしません。
しかし、この料理、全羅道の名物で、全羅道は三国時代に遡って日本人に近いとされ(百済人)今でも差別が国内にあります。未だに(若い子でさえも)、職場でお金が無くなる等の事があると、全羅道の人間が取ったんではないか、という様なことを平気で言うようです。
また、シンモ(下宿のまかない)のおばさんは全羅道出身者が多く(全羅道は韓国で食べ物はおいしいとされて、料理人が多い)それが、「千葉の女の乳搾り」的な扱いをされてきた経緯もあって、あいつらは一段低い>糞喰ってる的なニュアンスにかの国でもなって居ます。
しかし、海苔は何なんでしょ? 牡蠣に人糞撒いていた事の錯覚かな?? これ、昔広島で問題になって、韓国もすぐに問題になり、少なくとも30年前から禁止のはず。
海苔はオリンピックの前までは、市場で婆さんが普通の海苔を七輪で炙って、ごま油刷毛で塗って荒塩ふって作りながら売っていて、折切る時にろうそくの火で線を付けてきれいに切って居たことなんかを思い出します。
なお、人造しょうゆですが、概ね干鰯を利用していた、と親戚の醤油やさんは言っていました。しかし、そんな物を作るなら、大豆の締めかすで作った方が良いので、誰かが町中で作って、流通というよりはヤミで出回ったんじゃないか、との事です。
なお、人毛醤油ですけど、これ、昔、中国人になんでそんな物を? と聞いたところ、体の悪いところのものを食べると悪いところが治る、つまり、毛が生えてくる、と思ってるのではないか、という事のようです。
投稿者 問題児 : 2006年08月02日 16:25
ホンタクって人糞に漬け込んで作るとあったような……。
実際検索かけてみるとかなりヒットします。
wikiにもあったのですが、削除されてしまっていますね。
藁に……というのは、はじめて聞きました。
投稿者 Su-47 : 2006年08月02日 12:44
ホンタクとは「洪魚(ホンオ=ガンギエイ)」と「濁り酒(タクシュ)」を一緒に食べることです。
ホンオは韓国南部地方の名物で、結婚式などで振る舞われる高級食材ですが、アンモニア臭がキツイので日本人から偏見を持たれているようです。(日本人もクサヤを食べるのに...)
軟骨魚であるエイの筋肉にはサメなどと同じように尿素が含まれるため、10日ほど貯蔵することでアンモニア臭が強くなります。地元ではこの香りを引き出すため壺の中に藁とエイを置き、藁の熱で発酵させるのです。たい肥とはまったく無関係です。
http://e-food.jp/blog/archives/2006/04/post_70.html
投稿者 nabe : 2006年08月02日 01:07
ファラデーの「ロウソクの科学」だったか、「チョコレートの原料には牛の血が使われている」ってくだりがありましたが、あれと似たようなものではないでしょうか。
魚の内臓や蚕の蛹から作られた代用醤油は本気で流通していたようですが。
投稿者 小狸工房 : 2006年08月01日 22:07
ちと問題ありそうなのでup無しで構わないです。
韓国料理のホンタク、韓国海苔の製造過程もかなりいま現在でもよろしくない感じです。ちょうど話題的に旬?なのかグーグルですぐ出てきます。
日本だってついこの間まで田畑にまいていたわけで、だからあんまり感情批判も出来ないかもしれないとは思いつつ、うーんうーんうーん。
誇張的情報操作の可能性もあるでしょうし。うーーーん。
投稿者 ネムネム : 2006年08月01日 15:05