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2006年08月29日  プロレス脳の恐怖 [医学・科学関連]

pro_wrestling_watch_s.jpg2006年8月の"Pediatrics"誌に掲載された論文、「高校生のプロレス観戦と暴力行為の関連について」より。抜粋の抄訳。<Link1(PubMed)><Link2(PDF)>

家庭やコミュニティ、電子メディアなどで日常的に暴力に接することが、小児期、思春期の暴力的行動への関わりを増加させるというのは、さまざまの研究調査が指摘するところである。本調査における我々の目的は、TVでプロレスを観戦することと、高校生の異性との喧嘩や武器携帯、暴力行為一般が持つ関連性を明らかにすることである。

1999年秋から2000年秋までの間、ノースカロライナ州のウィンストン-セーラム市/郡の高校に在籍していた高校生からランダムにサンプルを取り出し、質問紙法による調査をおこなった。得られた2228例のデータに対し、さらに後ろ向き時系列的調査をおこない、分析を加えた。

以下、結果をかいつまむと、男子生徒の63%はプロレスを見ており、24.6%は2週間に6回以上観戦していた。女子生徒の場合もそれぞれ35.1%、9.1%であった。暴力行為をともなう諍い、喧嘩、武器携帯などに関わった頻度と、それ以前の2週間、TVでプロレス観戦した頻度には有意な相関が見られた。特に、その相関は女子の間に強い傾向がみられる(2週に6回以上視聴する男子の場合のオッズ比は1.77、女子の場合は2.70)。もっとも強い関連は、デートの際に飲酒もしくは違法薬物摂取をして、相手と暴力的な諍いを起すことにあったという。

この「デートの際の諍い」は原文では"date-fight"で、なんだかカップルが痴話喧嘩しているような印象をもってしまうのだが、実際はナイフや銃まで振り回すようなかなり物騒な暴力行為を指すようである。DVの高校生版と思えばいいのですかねぇ。それとも完全な勘違い?まさか「果たし合い」のことではないだろうし。

この論文はあくまで質問紙調査の統計的解析なので、プロレスがなぜ暴力行為を助長するのか、という機序にふれてはいない。当然、「見るべきではない」という事前のバイアスがあるから、こんな調査をしたんだろうけれど。また、オッズ比という数字はどうもごまかされてしまっている印象が否めず、報道のように、「プロレスを見ると暴力行為に関わる率が男子で77%、女子で170%増える」と言い切っていいのか、懐疑的になってしまう。統計の専門家にはこれが判りやすいのかも知れないが。

なんであれ、少なくともノースカロライナ周辺で、しょっちゅうプロレスを見ている女子高校生とデートする可能性がある人は、相手に酒なんか飲ませるのは慎むべきでありましょう。突然ブレーンバスターを仕掛けられても、自業自得。<via>

DuRant RH,Champion H, Wolfson M. "The relationship between watching professional wrestling on television and engaging in date fighting among high school students." Pediatrics. 2006 Aug;118(2):e265-72

*当初、「トンデモ・都市伝説」ジャンルに入れていたが、その後考え直して「医学・科学」のみとした。明らかに、原因と結果が混乱した論理だとは思うのですが。

投稿者 webmaster : 2006年08月29日 23:50

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トラックバック時刻: 2006年09月06日 10:43

コメント

これって「プロレスを見るから暴力的になる」のではなく、「もともと暴力的性向の強い人はプロレスを好む」ともいえるんじゃないでしょうかね?
特に女子の場合は、一般的にはプロレスとかは余り好きでない人が多いと思いますので、その中でそういったものを好む人と言うのは、もともと暴力的性向が特に強いとも言えるでしょうし。

なんだか、「ゲームが銃乱射を生む」みたいな感じで、結論先にありきな調査に見えて仕方が無いです。

投稿者 B-51 : 2006年09月01日 10:04

怪獣番組など常に槍玉に挙げられますね。

真面目な話、番組スタッフ側の良識が直に問われる分野でもあります。
医薬品メーカーが単独スポンサーであったウルトラマンがファンタジーの色濃い作品であったのに対し、玩具メーカーがメインスポンサーとなったウルトラセブンではより直裁的な戦闘場面を求められ、スタッフの反感から大層ネガティブなニュアンスの物語となったのは大勢のマニアの指摘するとおり。
傍目には何ほどの違いも無いかも知れませぬが。

投稿者 小狸工房 : 2006年08月30日 20:06