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2006年09月23日  「世界初」ペニス移植の顛末 [医学・科学関連]

掲示板で、「世界初のペニス移植手術」について触れたブログ記事を教えて頂いた。中国・広東の外科医が世界初の陰茎移植手術に成功したものの、二週間後に「患者とその奥さんに深刻な心理的問題が現れたため」、移植された陰茎は切除されたというものである。21日にはかの「東京スポーツ」までこれを扱い、そちらでは「奥さんが『他人のモノじゃイヤ!』と拒絶反応?を起こした」というニュアンスで報じられていたという。

まあ、移植に成功したのに、「心理的問題」で切除したといわれれば、そういう風な想像をするのも当然なのだが、それ以前に「ペニス移植なんて、現実的に可能なのか?」という疑問がわいてくるのも事実。そんなわけで、元論文を検索してみたら、そう苦労もなく見つかったので流し読み。(HTML版PDF版)

それによれば、書かれてある手術の経過は、東京福袋ブログに訳出されたGuardianの記事通りなのだが、どう見てもこの手術を行った医師団に都合のいいことだけを書いた印象が強いのだ。あんまり見て気色のよいものではないが、術後の経過を示した写真(→こちら。18才未満閲覧禁)を見て頂ければそれは一目瞭然である。

術後14日目の移植陰茎は循環不全で紫色に腫れ上がり、表皮は広範に壊死して、糜爛を呈している。「心理的問題」というようなきれい事ではなく、患者家族にしてみれば、「こんな腐りかけたチンポコをくっつけていられるか」と思う方が自然である。医師たちは切除した陰茎の組織写真、それも血管周辺の顕微鏡写真を示し、「拒絶反応は起こっていない」と強弁しているが、それを含めて移植が失敗に終わるのは時間の問題であったのは明らかであろう。

この論文の掲載を認めた「欧州泌尿器科学雑誌」も、これではマズイと思ったのであろう。これが掲載されたのと同じ号に、「陰茎移植?」という編集者論文を載せている(HTML版PDF版)。

そこでは、まず一般的にこのような組織総体を移植する技術はまだ確立されていないこと、そういう条件でこの手術を行った医師たちの高い技術に対して、一応のリスペクトを示しつつ、充分な予備的実験や、当然起こりえる拒絶反応に対する対策不足が指摘されている。

何よりも中国という医療保険制度も完備していない国で、高額の医療費を強いられ、副作用も深刻な拒絶反応対策を、死ぬまで続けねばならないことを、患者家族に説明していたのかと言う疑問を提出している。要は、この手術は思いつきでしかなく、無意味な冒険を患者家族に強いているという批判である。ごく常識的な反応といえよう。

おそらく、元の論文を掲載拒否して広東医師団の怪しげな「世界初」狙いを闇に葬るより、明らかにして批判する方が今後の暴走を押さえられるという、高度の政治的判断が背後にあったのだろう。ただ、その目論みは中国4000年の政治経済的伝統の前には、そう役立つとは思われない。手術を行った連中にすれば、かの国の富裕層をカモにする、いい宣伝材料が出来たというのが正直なところであろう。

投稿者 webmaster : 2006年09月23日 23:08

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コメント

かの国は以前から移植手術に熱心でありまして、私が小学生だった当時にも掲示板のパンフレット(もちろん紙に印刷されたものね)に、事故で右足首を失った女性が、今度は左足首を事故で失い、早速接合手術が試みられたが切断面の破損が酷く、接合は不可能と判断された。然るに人民政府の計らいにより、残った右足への左足首の接合が試みられ、これに成功した。これによって女性は歩行機能を取り戻したのであると。
掲載写真も含めてあまりにシュールで、当時の私では記事の内容を理解するのにしばらくかかりました。
右足に左足首を生やしたオバハンが松葉杖をついて歩いているわけですが。

しかしペニスの移植に何ほどの医療的意義があるものやら。
循環器も感覚器もあれほどデリケートな器官も他に無いと思いますが。

投稿者 小狸工房 : 2006年09月24日 03:29