« 病院公式サイト・その2 | メイン | 「世界観」判定テスト »

2006年10月21日  MP3プレイヤーによる聴覚ダメージ [医学・科学関連]

全米聴覚保護協会主催で去る10月19-20日に開かれた騒音誘発難聴に関す会議で報告された研究。「iPod及び他のMP3プレイヤーの主力レベル:聴覚低下への潜在的リスクとなるか?

冒頭部だけを抄訳し、後はハショリながら解説。

デジタル・ミュージックプレイヤー(MP3プレイヤー)がポピュラーになるとともに、そうしたデバイスの危険性がメディアで問われるようになっている。我々は3社から発売されている5種類のMP3プレイヤーを、その付属イヤフォンと別売品、4種のイヤフォンを使用した場合について、それぞれ最低音量から最高音量を出す条件で調査した。(引用以上)

調査したのはiPod、iPod mini、iPod nano、San、Disk Sansa,、Creative Zen Microであったが、結果としてプレイヤーの製品差はほとんどなかった。ボリューム設定と出力レベルは全ての製品で直線的な相関を示し、平均値の標準偏差内にとどまった。

大きな違いは使用イヤフォンに現れた。使用したのは機器に付属する標準イヤフォン(いわゆる耳介内タイプ)、ShureE4c、EtymoticER-6(以上二者は外耳道に挿入するタイプ。いわゆるカナル型)、それと昔ながらのヘッドフォンタイプであった。

いわゆるカナル型は、ヘッドフォンタイプに対して5.5デシベル出力レベルが高く、標準耳介内タイプもそれに次ぐ出力レベルを示した。

音楽ジャンルによる差は全く見られず、ロック、R&B、カントリー、ダンス、ポップスいずれのジャンルでも、最高ボリューム設定の際、その出力レベルは同じであった。

聴覚ダメージは晒される音量と時間に依存するため、大音量で長時間音楽を聴くほど聴覚低下リスクは増加する。著者たちはMP3プレイヤーで音楽を聴く際、推奨される音量設定と聴取時間をこういう表にして示している。

この表では、イヤフォンは標準の耳介内タイプ、カナル型、ヘッドフォンタイプの三種にまとめられていて、iPodの標準イヤフォンだけは別にリストアップされている。耳介内タイプでは60%の音量設定なら、聴覚障害を起さないようにするための時間制限はないが、カナル型では14時間までとされている。ヘッドフォンタイプはその点、ずっと安全とされる。

まず14時間続けてMP3プレイヤーを聞く人はいないと思うが、経験から言えば、電車の中などでは60%音量というのはちょっとキツイ。80%ぐらいの音量に設定している人が多いのではないだろうか。その場合、時間制限はカナル型なら50分とされ、耳介内タイプでも1時間半である。

この研究では、とにかく内耳に届く音量とそれによるダメージだけを考えているのだが、少なくともリアルな音を再生するという機能からいえば、カナル型イヤフォンはヘッドフォンよりも優秀という先行研究が数多く存在する()。

いい音を聞きたい人はカナル型を使えばいいが、聴覚へのダメージはその分強いよ、という「楽あれば苦あり」(ちょっと違うか)という、常識的な結果といえようか。なお、人間には多少の聴覚刺激でも平気な「強い耳」の持ち主と、弱い刺激でも聴覚低下が来る「弱い耳」の持ち主がいるらしく、上で推奨されている基準を守っても、聞こえが悪くなる人はなり、影響がない人はないそうである。

ただし、ある人が強い耳か弱い耳の持ち主かを、前もって知る手段は今のところないというのが、この研究のオチと言えばオチ。

投稿者 webmaster : 2006年10月21日 23:57

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/931

コメント