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2006年11月01日  O-リング風水師 [都市伝説・デマ・トンデモ, 本とか映画とかTVとか舞台とか]

昼前になんか妙にヒマになり、ぼんやりTVを見ていたら、風水で住宅の気の流れを診断するという情報番組をやっていた。家を新築したら、家族が次々と不調を来たしたという視聴者の訴えをうけて、これ以上の胡散臭さはあるまいと思われる風水師が、家まで訪れて気の流れを調査するのである。

それだけならごく普通の占い系バカ企画であるが、この風水師が多少ユニークなのは、その風水診断にバイデジタル・O-リング診断法という、ごく一部で知られる医学系トンデモ技術を応用しているところにあった。中国四千年の歴史を踏まえた伝統トンデモに、ここ3~40年足らずの間にひねり出された新興疑似科学を重ねるという発想が、屋上屋を重ねるというか、毒喰らわば皿までもと言うか(違うような…)。

バイデジタル・O-リング診断法は、その亜流も含めて時々TVで紹介されたりするが、まずその内容を詳しく知っている人はそういないと思うので簡単に説明すると、被検者に利き手の親指と人差し指でワッカを作ってもらい(要はOKサイン)、それを検査者が両手で引き離すというだけのものである。ふつう、力を入れたOKサインを他人が開かせるにはかなりの力がいるが、ここで被験者に何らかのネガティブな生体エネルギーが流れ込む状況があると、このOKサインは簡単に離れる(と提唱者やその支持者は主張している)。

例えば、アレルギー性疾患の人なら、OKサインを作っている手の反対側の手のひらにアレルゲンの疑いのある物質を置くと、先ほどまでかなりの力を入れても開かなかったOKサインが、軽い力で開いてしまうというのである。極めつけは、手のひらに置くものは別に物質である必要はなく、例えば「スギ花粉」と書かれたメモ用紙でもいい、つまり「概念」でいいというのがこのテストの不思議である。

TVで見た風水師はそれを応用し、その家の見取り図を用意して被験者である主婦にその図に触らせ、OKサインが開くところで「気が乱れている」と診断するのである。そして、かなり怪しげな対策を取った後、その効果をまたO-リング法で「ホラ、治ったでしょう」と納得させるというわけ。でもそれ、アンタの診断結果が変っただけで、本来の悩みである「家族の不調」が改善したわけではないのでは……、という疑問には当然触れられることはない。

デジタル・O-リング法に関しては、その支持者が作っているホームページがあり、その「驚異の効果」についてさまざまに自己宣伝してあるので、ヒマな方は検索して頂きたい(さすがにリンクを張って、ナイーブな方を迷わす手助けはしたくはない)。提唱者とその理論に関しては向こうのWikipediaで詳しく触れられていて、その理論には全く根拠がなく、提唱者が自称するさまざまな経歴も、かなり疑問があるものだと指摘されている(おそらく、ご本人、もしくはその支持者によるクレームが付いているらしく、"The neutrality of this article is disputed."という但し書きもある)。

私は昔、ある人からこのテクニックについての高価な教科書を頂き、その結果、この方法を思うがままに行うことが出来る。この方法で欠くことが出来ない原則が一つだけあり、それさえ守れば実に簡単に相手をビックリさせることが可能なのだ。その原則は、「被検者に影響を与えるものを接触させる時、現物であれ、紙に書いたものであれ、検査する人間がその内容を知っていないといけない」と言うことである。例えば、「スギ花粉」という書き言葉でも反応するという謎の現象は、それがスワヒリ語で書いてあっては起こらないのである。もちろん、検査者がそれを理解出来る場合は別。

何らかの物質を置く時も、それが何であるか(とされているか)を、検査する人間が知っていないとうまく行かない。けさの番組ではこの点を勘ぐられないようにするためであろうか、お笑い芸人が風水師について行き、やはり同じ反応が起こることを強調していた(一部ちょっとドジがあったが)。まあ、芸人は必ず風水師の後でやっていたので、被検者側もつい同じ反応を示したと言うことで充分説明可能。もちろん、台本つきのヤラセだというのが一番簡単な解釈だけど。

違う反応を起させるテクニックは実に簡単で、テストする側も気付かないぐらいのものだ。こうすれば影響があるはずだと思っていれば、つい無意識のうちにOKサインを開かせる力の入れ方をする可能性もある。科学的であると主張する現代医学でも、似たようなことはよくあることで、むしろこうしたパフォーマンスで人が安心を得るなら、もうちょっとリファインして意識的に利用してもいい方法だといえるかも。

経営学の視点から、似たような意見をより論理的に展開している方もおられたので、充分検討すべき方向性であろう。むしろ、医学が内包する疑似科学性を反省する契機になるかもしれないと思った次第。

投稿者 webmaster : 2006年11月01日 22:11

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コメント

オーリングですか
私の伯父が整体師ですがオーリングをするときには
親指と小指で診断されました。

花粉アレルギーを診断するのは怪しいと思いますが
整体に関しては信頼できると思います。

投稿者 nossi : 2006年11月15日 14:43

風水師さんがOリングやってるその番組見ました。
どのくらいお勉強をされたのかは分かりませんが、素人でもああやってあげて誰かが元気になるのは良い事かもしれません。
でも、本当にOリング診断ができるのは認定を受けた人だけみたいで(これが日本には数名程度しかいないと聞きました)、真剣に興味を持った人はそういう人のところに行くと良いと思います。

投稿者 Marilyn : 2006年11月09日 12:31

医道日本から出ている件の本,知り合いの武術関係者から貰ったことがあります。
 また,Oリングで「診断・治療」して全国行脚している人にであったことがあります。「信じる力」のためか,どうやって手に入れたか分からない各種ウイルスDNA粉末,癌患部の入ったサンプル管を持ち歩いておられました。それで,多様な「診断」ができるということでした。挙げ句の果てに,写真(正確に言えば写真のプリントですらない,週刊誌の切り抜き)にテスターの体を接触させて有名人の病状の診断まで行っていました。本業は劇団の主宰者だそうで,科学的な検証方法とか全く興味のない方でしたが,根拠のない自信を持ったウィッチドクター,暴走するとそこまで行ってしまうのかと,ある意味かなり感動しました。
 曲げるのに抵抗する力が変化する話は,合気道の「折れない腕」などがあって(Oリングも最初は指ではなく,抵抗する腕を曲げる力の変化を使っていたようですが,指の筋肉の方が疲労しにくいから正確に何度も測れるという理屈が彼の本に書いてありました),武術では,ディレクター(運動パフォーマンスを上げるためのカギとなる身体意識)によって,筋肉が力を出していると自覚しないで最大限の力を出せるような技術が多いのです。そういう筋肉制御と「力を出している」という意識との関係を考えると,Oリングで「力が出なくなる」,とかいうのがどのくらい不確実な話なのか大いなる疑問が出てくるのですが,武術関係者にこのOリングの信者が結構居たりするのも不思議です。「これは,君の力を減ずるので外しなさい」とか言われて,指輪や眼鏡を捨てられそうになった話はよく聞きます。診療技術的には否定的というOリング擁護派は,「いろいろなノイズを拾いすぎるので使えない」そうで,やはり宗教です。

 ポッパー主義者ではありませんが,反証可能性は,理想的には,科学の根幹だと思います。しかし,自然科学のほとんどの分野が厳密に詰められない領域が多いことも確かです。再現性などといっても,生態学など追試実験など皆無で話が進んでいきます。そのあたりのファジーな部分に対するさじ加減と理解力で科学者としてのセンスが分かれるのではと思います。

投稿者 complex_cat : 2006年11月04日 23:35

そうそう、下で書き忘れたけど、経営学の一番の見本はアメリカの教会の活動指針だって話が十年前だったか、もっと前だったかに言われてましたよね。
 
もしかすると、某大統領はその産物かも、、、。

投稿者 元大学院生 : 2006年11月03日 21:39

ウラシマ効果、重力レンズなど観測や実験で後追い実証されたものも多いので、それらに限っては化学の範疇に収めても差し支えないでしょう。

―君が現代科学を信じるのは君の自由だ、
しかし信じるのは宗教であって科学ではない―

「大衆が信じるのは事実ではなく願望だ」
アドルフ・ヒトラー

投稿者 小狸工房 : 2006年11月02日 20:10

中国6大長編の一つで今から250年以上前に書かれた(モーツアルトより古い)『儒林外史』の主人公(らしき人物)は、風水師の害のひどさに、「風水師の言う事を信じて常識に反したことをやる場合、結果の評価もして、結果に改善が見られなかったら、件の風水師を死罪にせよ」と主張していますね。
現代に焼き直すと、『検証のない(検証方法の確立していない)ものは全て宗教だ』というあたりでしょうか。でも、それすると、宇宙論の多くが宗教らしいんですが、、、。どうやって区別したものですかねえ。

投稿者 元大学院生 : 2006年11月02日 02:27

はじめまして、トラックバックを頂いた
「福耳コラム」の福耳です。
専門のお医者様から見たら怒られそうな、
不謹慎なことを書いてしまいましたが、
患者はまず医療や薬剤を信じたいのだ、
みたいに書けばもう少し共感されやすいかも。

僕は経営学をやっていますが、
友人に「フィリピンの呪術医療」を研究している、
変な人類学者もいまして、この人の話も面白いです。
http://azuma.txt-nifty.com/diary/
よろしければご覧下さいませ。

投稿者 fuku33 : 2006年11月01日 23:43

そういうものに頼らざるを得ないくらい、
QOLを上げるための簡便な
非破壊検査のニーズがあるということなので、
是非開発しちゃってください。


人って自分の不調の原因がわからないもんですが、
それをいちいちレントゲンだのMRIだのとってたら
おちおち不妊治療もできやしません。

****ここから愚痴
セカンドオピニオンとかいって怒らせる前に
「妊娠可能性」と「アレルギー」に丸すれば
時間は無駄になるけど薬も検査もパス
(嘘は書いてません。毎月半分以上はずっと妊娠可能性、
残りの1週間は生理痛で通院不可の状態です)。
どれから先にやりましょうかなんていう
お医者さんも困ってるようですね。
医者じゃない患者はもっと決められないんですが。
逆に「すぐ確実に直せるのはどれなんですか」とか、
「不妊治療を一回あきらめないと
腰痛だの風邪みたいな症状だのは
治せませんか、じゃあもう
次の子供のことなんて全く気にならないほど
つらくなるまでここにはこないほうが
いいんですか私・・」
とか聞きたいです。
察しろという雰囲気に屈せず聞いたほうがいいのかしら。
耳鼻科とか皮膚科の先生は特になにも聞かず
迷いなく直してくれるんですけど、
それはそれで怖いし。
****ここまで愚痴

ですから中国四千年でも下駄を投げてでも
自分で納得いくよう決められたら
たいしたものだと思います。
わたしも、人に薦められるミミズの入った体力増強漢方薬でも飲んでいいか決めるのに
是非やってみたいものです。オーリング。

投稿者 naporin : 2006年11月01日 23:34