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昨日の日曜日、天気も悪いので終日ゴロゴロTVを見ることにしていたら、丁度具合のいいことに、東京国際女子マラソンが始まった。このレース、やはり興味は34歳になった高橋尚子がどこまで活躍できるのかというところにあり、何しろスポンサーのCMが高橋尚子を使っている程なのだ。
レースから目を離していると、いつの間にかCMに切り替わっていて、そこでは先ほどまで、雨の中をシリアスな表情で走り続けていたはずの高橋尚子が、太陽をあびながら笑顔で走っていたりして、こちらは瞬間たじろいでしまうのだった。そのCMというのが某スポーツドリンクで、「一日100km移動するスズメバチのように、脂肪を素早くエネルギーに変える」というシロモノである。これを飲むとドンドン体脂肪が分解され、スリムになってパフォーマンスも高橋尚子並み、という気分にさせてくれるものだ。
はて、なんか最近これに関連するような文章を読んだことがあるようなと思いだし、見つけたのが先月暮れのこの記事であった。「B級映画のモンスターたちの生物学」というシカゴ大学生物学教授の書いた啓蒙記事を紹介したもの。そこでは、生物のサイズと、その代謝や筋力、脆弱性に関する解説がまとめられている。
出だしの部分だけを簡単にまとめると(それ以外のところはとばし読みなので)、50年代のB級映画では、人々が縮んでいくとか、逆にゴリラとかバッタ、アメーバなどが大きくなるというモチーフがよく見られたが、生物学者の目からは、それらは極めてナイーブな発想だというものだ。
サイズと簡単にいっても、長さ、面積、体積の側面を考えないといけない。長さが倍になると面積は4倍になり、体積は8倍になる。筋力や骨の頑丈さはその断面積に比例し、体重は当然体積に比例する。
著者は1957年にヒットしたSF映画、「縮みゆく人間」を例に取る。主人公の科学者は放射性物質に触れてどんどんとそのサイズが縮み始め、身長1インチ(約2.5cm)になってしまう。ネコに襲われて床下に落ち込んだ彼は、そこで必死のサバイバルを図る、という話なのだが、著者はそこにある矛盾点を次々に列挙するわけである。
まず、身長が約70分の1になったということは、体表面積は約5千分の1になり、体容積は3万5千分の1になったということである。まず主人公は体温を維持するために、代謝を上げる必要があり、そのためには寝るヒマも惜しんで食べ続ける必要がある。体表面積は体容積に比べて圧倒的に広いため、そこから蒸泄する水分を補うために大量の水を飲まないといけない。
そうした問題が解決されるとしたら、主人公はこのサイズの世界では無敵である。何しろその体容積からすれば、筋肉の断面積と比例する筋力は70倍なのである。この映画ではクモに襲われるシーンがあるらしいが、この大きさの世界で君臨してきたクモなど、元のサイズから縮んだ主人公の敵ではないはずなのだ。
この記事はさらに、同じように人間が縮む映画(ポピュラーな「ミクロの決死圏」など)や、キングコング、モスラなどの元のサイズから大きくなった怪物について考察するのだが、その辺は「空想非科学読本」シリーズを知っている我々としては、もう一つマンネリと言えなくもない。
そんなわけで、スズメバチがなぜその強さを誇るかといえば、多少の代謝効率の有効性以前に、何よりもそのサイズこそに最大の秘密があるのである。この理論的な枠組みで驚異的なマラソンランナーを育てるためには、身体サイズを劇的に下げる必要がある。
具体的にどうすればいいのか、ちょっと思いつかないのだが、日本代表選手とするにはかなりハードルがあるものの、差し当たってはMWFあたりと提携するというのはいかがだろうか。ちょっと不謹慎かなぁ。
投稿者 webmaster : 2006年11月20日 20:34
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「私は一食でも抜くと体重が三分の一に減ってしまうのだ」
「トガリネズミですかあんたはっ!」
-山上たつひこ作「金瓶梅」より-
投稿者 小狸工房 : 2006年11月24日 19:54
体容積が3万5千分の1だということは、熱発生源が3万5千分の1になったことを意味します。一方、熱は体表面から発散されるわけですから、そちらは5千分の1なので、熱の発散は5千分の1になっています。
従って、このサイズに縮んだ人間がその体温を維持するためには、熱発生を70倍にする必要があるというわけ。
投稿者 webmaster : 2006年11月24日 13:23
> まず主人公は体温を維持するために、代謝を上げる必要があり
これの理由をもっと詳しく書いてくれるとうれしいです。
相似的に小さくなれば、体表面積と体容積の関係は常に同じな気がしてしまうのです。
投稿者 goaheadorgohome : 2006年11月24日 12:41
>時間軸は縮めなくても良いのでしょうか?
ゾウの時間、ネズミの時間を考えねばならないのかも
ちっちゃくなって女性の胸の谷間にはさまれたい、
というようなことはあちらの人々は考えないのでしょうか?
投稿者 柄杓庵 : 2006年11月21日 20:20
「時間軸を縮める」という表現はおかしいかも知れません。ただ、たとえばネズミの鼓動は、人間のそれよりはずっと早いですし、成長に要する期間もずっと短いです。それでも、生まれて乳を飲んで成長して、交尾して子を残して、老いて死ぬまでの期間は人間よりも短いものの、ネズミにとっては一生に違いありません。これを人間の時間尺度で測れば、時間が早く流れているように見えるのではないかとも思えます。それとも、これはサイズの問題ではなく、人間よりも下等動物だからなのでしょうか?支離滅裂な文章で申し訳ありません。m(__)m
投稿者 スポック : 2006年11月21日 09:35
>時間軸は縮めなくても良いのでしょうか?
正直、あんまり判っているわけではないものの、一応ニュートン力学の範囲内の話なので、時間軸は共通でいいのでは。
>こういう次元解析って、小学校で導入すべきだと思いますねえ。
臨床医学のようなジャンルが違う部分でも思うのですが、アメリカの教科書記述というのは、おおむね総論がしっかりしていますね。常識というものがまるで欠けた連中を相手にしないといけないからかも知れないが。
投稿者 webmaster : 2006年11月21日 07:40
サイズの1乗、2乗、3乗の物理学はPSSCというアメリカのhigh school教科書(その日本語版を中学2年だか3年だかの時に人から贈って貰った)で初めて読んだ時に感動したのを覚えていますよ。
1乗=サイズ
2乗=断面積、表面積=筋力、骨荷重、熱損失
3乗=体積、体重
で、象の骨の断面が人間に比べて異常に太い理由や、ネズミが常に食べ続けている理由や、昆虫がその体重の何倍もの荷重に耐えられる理由を明快に教えてくれてるんですよね。教科書で。
小学校の時に、理科の先生が、小さいビーカーの水の方が大きい水のビーカーよりも冷めやすい(熱しやすいのは誰でも分かる)理由を説明した時に、単に「熱が多いから」と教えて、教科書でもそう書いてあってのが全然理解出来なかったのが(だって、重い物も軽い物も(重い物を小さい物の寄せ集めと考えたら)同じ早さで落下するでしょう?)、8年ぶりに理解出来たんですが、こういう次元解析って、小学校で導入すべきだと思いますねえ。
投稿者 昔理科の分からなかった児童 : 2006年11月21日 04:45
> 身長が約70分の1になったということは・・・寝るヒマも惜しんで食べ続ける必要がある。
すみません。まったく見当はずれな話かも知れませんが、時間軸は縮めなくても良いのでしょうか?同じ空間に存在するという前提条件がある以上は、時間軸を縮めたら、話が成立しないのでしょうか?
投稿者 スポック : 2006年11月21日 00:43
ビスケットの欠片で食いつなぎ、虫ピンを構えてクモに立ち向かうという展開でした。
怪獣映画では、なんともいえない珍妙な小理屈が添付されていたりしますね。
投稿者 小狸工房 : 2006年11月21日 00:35