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2006年12月03日  睡眠時無呼吸症に対する代替療法としてのディジェリドゥ [医学・科学関連]

digeridoo_s.jpg

睡眠時無呼吸症(SAS)とは、睡眠中に気道閉塞が起こって断続的に無呼吸がおこり、そのため充分な睡眠が確保出来なくなって日中の眠気、集中力低下、疲れやすさなどが続く疾患である。肥満者に多く、減量だけでも改善することがあるが、なかなかうまく行かないのが世の常。重症の場合、心血管性合併症が起こって死につながることすらある。

診断が確定した場合、CPAPという呼吸補助装置を付けて眠ればいいとされるが、想像してみれば判るように、こいつはやはり違和感ありまくりなのである。「ぐっすり眠れるから、多少の違和感なんか気にならない」とこれを勧める治療者はいうのだが、「あれを付けて寝たら、あまりの気持ち悪さにパニックを起した」という人もいるぐらい。それ以外の治療法では、ある種の利尿剤が効くこともあるが、まあ、気休めに近い。

そんなSASに対して、かなり大胆な代替療法を提案するのが、今年の2月4日発刊のBMJに掲載された論文。ディジェリドゥとは、オーストラリア・アボリジニの伝統楽器である。ユーカリの木をくりぬいただけの単純な木製楽器で、トランペットみたいに、唇の振動を共鳴させるもの。オーストラリアではこれを奏でるストリートミュージシャンをよく見るが、指孔もないシンプルな構造からは想像も付かない多彩なサウンドが出てくるのが不思議である。

そいつを、SASの代替治療に使って、ランダム化比較試験を行った結果をまとめたものがこれ。無呼吸症指数(睡眠中、1時間の間に無呼吸が起こる回数:AI)が15以上30未満の患者(18才以上)25名について、その約半数を週5日、20分以上のディジェリドゥ・レッスンに割り付け、残りのコントロール群と比較した。

なお、このレッスンでは透明プラスチック製の初心者に扱いやすいディジェリドゥが使われたが、循環呼吸という連続音を出すテクニックや、下気道や肺に共鳴させる基本的な技法がすべて教えられたそうだ。

4ヶ月後、レッスン群のSAS症状、とくにレッスン前に平均22.3であったAIは11.6に低下、日中の眠気も著明に改善している。自覚的な睡眠の質はそう変化はないが、配偶者による客観的評価では有意な改善をしめした。

著者たちは、この改善はディジェリドゥ・レッスンによって、上気道閉塞が起こりにくくなったからだとしているが、その機序については詳しい説明はしていない。循環呼吸までマスターすれば、一定の上気道圧が維持されるから、上気道を形成する筋群が強化されて閉塞が防げるのかも知れない。

肥満傾向、寝起きの悪さという点では自信のある私もこいつは効くかと思い、掃除機の延長管を持ってきてディジェリドゥ風に吹いてみたが、短期的には酸欠で頭がクラクラになっただけであった。でも、しばらくすれば頭がすっきりするような気もするので、もう少し続けてみようかと思う次第。でも、4ヶ月続けるのはちょっと自信ない。

なお、この論文はスイス・チューリッヒ大学の研究者が中心になって書かれたものだが、なんでアボリジニの伝統楽器などに目を付けたのかを知りたいところ。アルプ・ホルンではイカンのかなぁ。

投稿者 webmaster : 2006年12月03日 20:28

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コメント

>ユーカリの木をくりぬいただけの単純な木管楽器で、トランペットみたいに、唇の振動を共鳴させるもの。

唇を振動させる楽器は「ホルン」の類であるとされるので、楽器分類上は金管楽器ですね。


まっ、どうでも良いことですが。

投稿者 K.T : 2006年12月11日 13:43

オーストラリアの専門ショップで買ってきたのが1台あります。循環呼吸は,ストローでコップの中にとぎれないようにぶくぶくを見ながら練習しましたが,未完成です。
http://www.eonet.ne.jp/~antonio/deju/junkan.html
アボリジニー文化,ニューエイジ系ではかつての文芸書「ミュータントメッセージ」などにより得点高いですが,その当たり,スイスでも,逆に耳目を引く部分があるのかも知れませんね。自国のアルプ・ホルンでは,目新しさがないとか。
 それと,あの響きは,ちょっと瞑想支援的な効果があって,リラックス効果かどうかは分かりませんが,アルプよりは,調息のエクササイズ向きか・・・いや好みでしょうね。

投稿者 complex_cath : 2006年12月04日 16:15

沖縄行きのフェリーで同席した青年が抱えていた楽器がなんとも奇妙な形をしていたので思い切って訊ねてみると、これも同様の構造をしたインドの楽器だとの事。
「鼻から息を吸い込みながら肺を満たし口に溜める連続動作で途切れなく音を出します。これを「循環呼吸」といいます。」

彼はこの楽器を演奏しながら全国行脚をしているそうですが、これからすると彼は喘息患者の体質改善法でも広めていたのでしょうか。

投稿者 小狸工房 : 2006年12月04日 00:59