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要はSFのお馴染みジャンルである、異星人とのファーストコンタクトもの(『ソラリス』をそのジャンルに入れるのが許されるなら、という限定付き)なのだが、そこはスタニスワフ・レム、安易な理解を許すようなものには仕上げていないのだった。おまけに思索的かつ内省的な息の長い文章が続き、どれが主語やら述語やら、というような混乱にしばしば陥ってしまう。
もっとも、この訳文には日本語として明らかにおかしなところが頻出していて、私の理解能力だけの問題とも思われない。マニア向けのわけ判らん本だから、回りくどくて理解不能な文章の方が有り難がられるという、勘違い難解本商法に版元が毒されているのと違いますかな。
とにかくネタがてんこ盛りになっていて、殊能センセーが言うように「とんでもなく密度が濃い」のだけれど、それが物語をもり立てているかというと、少々疑問である。それでも全く理解を絶する異星人文化との交渉過程は、筒井康隆の短編、「ワースト・コンタクト」を思わせるスラプスティックな展開で、訳によってはもっと楽しく読めたのではと、少々残念。
そんなわけで、やっと読み終えられた時には、この密度から解放された安堵感だけを感じたのでありました。なお、異星に向かう宇宙船には「ナカムラ」という日本人物理学者のクルーが乗っていて、この人を連想しながら読むのが、物語中唯一の清涼剤でありました。宇宙船の中で、ジャムセッションでもやってくれたらよかったのですがね。
投稿者 webmaster : 2007年03月15日 20:51
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