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私はこの人の皮肉と突き放した暗めのユーモアは、結構お気に入りだった。やたらに多作家ではないこともあり、そう努力なしに、出ている本がほとんど読めるのも有り難い。SFジャンルながら、SF作家と呼ばれないのもいいところ。
聞くところによれば、この人はやがてくる自分の死をいつも意識していたんだそうで、瞬間的な死、それも乗っている飛行機がキリマンジャロと衝突する、というのが理想だったらしい。
「ヘミングウェイは自分の人生に自らピリオドを打った;老年というのは、セミコロンみたいなものなんだよ」。彼はそんな風に、自殺への願望を語っていたことがあるが、無神論者の彼にそれを押しとどめさせたのは、自分の母が睡眠薬自殺をとげたことによる、強いトラウマ体験であった。
「私の父はガンマニアで、その晩年はとても不幸だったが、自ら死を選ばないことを誇りに思っていた。私もそれは同じだ。子供たちに悪い実例を示したくないからね」。
そう言えば、この人の息子、マーク・ヴォネガットという人が書いた、「エデン特急」という本を読んだことがある。ヒッピー暮らしのなかで、次第に分裂病症状を示すようになった経験談を語ったものである。特異な才能をもつ父親の息子というのは、なかなかのストレスらしいと思ったものだった。
彼の分裂病症状は、正統的治療によらず、メガビタミン療法などで克服したというような話だったが、私にしてみれば、ごく普通の精神医学臨床に関わりだした頃だったので、本当とは信じられなかった。薬物中毒で、一過性幻覚があっただけじゃないだろうか。
それに彼は今、、作家の傍ら、小児科医として活躍しているらしく、とても古典的な疾病分類から定義される分裂病だとは思えないのだ。そんなことを言うと、お前は分裂病を治癒不能の宿痾だと決めつけるのか、と詰問されそうだが、正直に言うならそう思っているのだ。正確に言えば、分裂病概念はもっと縮小されるべきもので、幻聴体験ぐらいで軽々しく診断すべきではないというだけ。
もちろん、正統的診断学をきっちり適応するだけでも、かなりの改善は可能なのである。ところが実際は、かなりいい加減なのが実情である。例のDSM診断が先達たちの経験的蓄積を根こそぎにしてしまった、と言うのも大きい。この辺については、そのうちまとめてみるつもり。いつになるかは判らないけれど。
そんなわけで、様々なことを考えさせられる作家の死であった。比較的コロリと死ねたのは幸せか。理想の事故死とまでは行かなかったが、まあ、そういうものだ。
投稿者 webmaster : 2007年4月12日 23:43
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ネムネムさんとは逆に、好きな作家が亡くなられると
ホっとしてしまう
自分が死んだ後に新作出たら なんか悔しい
なんて思ってしまう
唯一、隆慶一郎氏の死には落ち込んだ
未完かよぉおおお
帰ってきておくれよ 隆さん
自分の未来が少なくなってくると
どんどん自分勝手になっていく
投稿者 iwan : 2007年4月16日 00:16
ああああああ、ヴォネガット様が!!
サンリオ文庫のコズミックレイプが良かったですゥゥゥゥ
自分が夢中になった作家や著名人が亡くなられると、なんかこう自分の中味の一部分が消えてゆくような変な喪失感があってイヤンです。静かなショックといいますか。
年とると豊かになるどころか、どんどん失われてゆく感じが強い今日この頃。
投稿者 ネムネム : 2007年4月13日 05:52