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2007年6月11日  月に憑かれた犯罪の撲滅を [都市伝説・デマ・トンデモ, ニュース]

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<BBC Newsより>英国サセックス州警察の調査によれば、満月の日と給料日には暴力事件が多発するのだという。これは、同州警察のアンディ・パー警部が、ブライトン市とホーブ市の犯罪統計と、月の満ち欠け表を比べているときに、その一致を発見したという。

満月の日に人が暴力的になり、狼男になるという伝説は、古来から存在する。しかし、誰もが、月の満ち欠けと人間行動の関係性を、適切に説明することが出来なかった。

サセックス州警察のスポークスウーマンは、警察が自ら行った調査によっても、暴力事件と満月との関係を示したと表明している。彼女は、夏の満月日には、ブライトン市のパトロールにより多くの警察官を配備することになると付け加えた。

パー警部は更なる調査を行うために、この問題に興味をもつと思われる大学の研究者に連絡を取った。BBCの報道に対して、警部はこう語っている。「19年以上に渡る警察官としての経験から、満月の日には人々は、間違いなく奇妙な行動に走ると言える。理屈っぽくなり、気難しくなる。これは長らく全国の警察官の間に伝えられて来たことだ」。

この現象に対する過去の研究では、ポーランドの科学アカデミー教授、ミカエル・ツィメッキ博士による、満月が暴力事件に影響を与えているとするものや、98年に行われた刑務所での暴力事件解析研究が肯定的な影響を認めている。

なお、94年にジャック・ニコルソン主演で作られた映画「ウルフ」では、制作スタッフの1人が創造物に影響されてしまい、満月の日に狼男になったという言い伝えがある。<引用以上>

この「月の魔力」に関しては、このサイトを立ち上げたころに(1999)、もっぱら医学論文の簡単なまとめをアップしたことがあり、その後、映画の紹介でもまた触れた。当然、「そんなアホなことがあるわけ無い」というスタンスで、実際、多少でも肯定的なニュアンスを表明しているような論文は、ごく一部を除いて、ほとんど無かったように思う。

上の記事を読んで、また関連論文を集めてみたのだが、以前にまとめたときよりも、参照出来る論文数がかなり増えているのと、満月と犯罪や事故との関連性を示唆するものが、ちらほらとではあれ、目立つようになったという印象がある。前回の記事はあまりにもお座なりだったので、この機会に、もう一度まとめ直してみようかと考えている。

とは言うものの、ざっと流し読みしただけでも統計処理に問題がありそうなものや、いくらでも別の説明が付けられるようなものもある。例えば、前回見逃していたインドの研究者によるこの研究(PDF)は、犯罪の件数が満月に一致して増えていることを、はっきりとグラフで示しているが、インドでなお太陰暦が使われていることを一切考慮していない。祭礼などは太陰暦によって決められていることが多いだろうし、そう言う日は人々の往来が盛んで、トラブルだって多いだろう。満月と犯罪多発が一見一致しても、不思議でないと思うのだが。

その点、英国警察によるこの満月=犯罪多発の主張根拠は、あんまり客観的とは思えぬ経験なのだが、そういうものを振り回す理由が判らない。私なんか、ある意味似たようなことを扱っているが、まったくそんな「経験」ないもの。

官僚組織というものは、どんな理由を使っても、人と予算を食いつぶすために、全力をふるうものだということで説明出来るのかも知れない。給料日に事件が増えるというのは、実によく判る気がしますがね。

なお、記事中のポーランドの研究者による論文は多分これ(PDF)だと思うが、記事で書かれている内容とはかなりニュアンスが違う。刑務所の研究の方は、医学データベースからはたどれなかった。恐らく、社会学系の研究なのだろう。また、映画「ウルフ」については、IMDbを当ってみたが、そのようなトリビアは発見出来なかった。どなたか、発見出来た方はご教示願いたい。

投稿者 webmaster : 2007年6月11日 23:21

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コメント

むかしA・リーバの 「月の魔力(The Moon Effect)」って本を読んだことありました。今でもあの本、売ってるんですかねぇ?

投稿者 tensu : 2007年6月20日 00:12

進化史で考えると,海産生物の段階であった頃は,大潮(新月期もありますけど)のタイミングで産卵や体外受精生物の常として放精(すなわち繁殖行動)を集団でしていたわけで,月との関係は,「陸に上陸して面倒なサル以上になった後も,ご先祖様のバイオリズムに引きずられている,月経周期などはその名残」というようなお話かと。それ以外に月齢の影響についてあまりまともな究極要因を考えた仮説はなかったような。
 適応的な意味が認められれば,それに引きずられるということも或程度仮説化して検証できるとは思います。
 前提として,未だに適応的意義が有ればですし,近縁の分類群の広範囲で「それ」が認められれば,何かあるかも知れないと考えられそうですけど,そんな話は聞いたことがないですし,月経だって,集団でシンクロすることはあっても,ヒトの♀の妊娠タイミングの秘匿という特性から満月とはバラバラですし。

投稿者 complex_cat : 2007年6月13日 07:04

えっと、極地に近くなればなるほど月の生活への干渉が大きくなります。というのも太陽の低い冬では月夜の(昼に対する)相対的な明るさが無視出来ないからです。極端な話、北極圏のライン上での冬至を考えると、太陽は全く出ませんが、その時の満月は太陽の正反対ですから夏至の太陽の軌道(23.4+23.4=47度の高さ)にまで上がります(新月は太陽と同じだからゼロ)。その場合の明るさ(特に南向きの部屋)は不眠を起こすのに充分な量です。
現に、こちらでは満月に眠れないという人が多くて、それと犯罪率との関係はあるかもちゃんと調べればあるかも知れません(井戸別の冬の4ヶ月間だけのデータに絞って相関を調べるんでしょうね)。

投稿者 北欧在住 : 2007年6月13日 01:58

ずいぶん昔からよく言われていることには、何らかの事実が含まれているとは言われていますが……科学的には眉唾かなぁ?

MASTERキートンに、狂犬病患者が狼男伝説の元ネタになっているのではないか? というお話があったと記憶しています。

投稿者 Su-47 : 2007年6月12日 12:49

でも発情期とかが有効だったころは、「満月ころ」とか期間が一致してると有利な気がしなくもないかなー
てんでばらばらな時期に発情しててもなかなか効率的に生殖できなさそうだし
というわけで、満月あたりに欲望をおさえなくなる種が繁栄するのはリーズナブル感ありますけど、
満月センサーのしくみはどうなんでしょ。潮汐?

投稿者 cakecookiepie : 2007年6月12日 12:46

「土曜日の満月の夜」なんて言い回しもありますが、それ故に人は何かの理屈をつけて納得したがるものかも。

アウトドアに精を出していた頃、ペース配分を間違えて深夜の山中に一人きりになったことがあります。
なんというタイミングか、空を見上げれば木立を透かして満月が煌煌と輝いておりますが、そのとき私が感じたのはひたすら「畏怖」でありました。

「ルナティック」、ですか。

投稿者 小狸工房 : 2007年6月12日 02:12