« バベルの謎―ヤハウィストの冒険 | メイン | 片山・チェ・福田スペクトル »
毎年、数百人ものカソリック修道女たちが、医学研究の名のもと、体重や色々な指標を計測され、採血され、検査されていると、米国のABCニュースは伝えている。
スペインのビールと健康情報センターが行っている研究では、50人の修道女たちが45日間に渡って500ccのビールを飲み続けた。6ヶ月後、彼女たちは400mgのホップを摂取したとロイターは伝えている。この研究では、高コレステロール値を示していた修道女のコレステロール値が、6%低下したことが示された。
「私たちは、人類のためにこの研究に参加したのです」、シスター・アリメリンダ・アルバレツはエル・パリ紙の取材にそう答えている。アメリカでも、骨粗鬆症やアルツハイマー病、その他様々の研究に協力している同僚たちがいる。
研究者たちは、修道女の独特のライフスタイル、特に性交渉や出産経験が無いこと、一様な生活レベルを同僚たちと共有している点をもって、理想的な研究対象だと見なしている。そして、修道女たちが、長年にわたって、研究に快く参加してくれてきたことも、理由の一つである。
「彼女たちを対象にする、もっとも大きな理由は、その利他主義だ」、ケンタッキー大学のサンダーズ・ブラウン加齢研究センターで修道女研究を行っている、デビッド・スノウドン博士はそう語る。
スノードン博士の研究は、アルツハイマー病の発病因子を発見しようとするもので、彼はノートルダム修道女団に属する678人の追跡調査を行っている。利他主義にくわえ、彼女たちが対象になったのは、人生早期から存在する発病因子を分離するのに、修道女たちの同様な生活スタイルが、コントロール集団として実に都合がいいことによる。修道女たちは、食事や医療ケアへの接触など、人生の多くの局面において、修道生活へ入る誓いの後は、同僚たちと同じ態度を取るからだ。
この研究では、1917年以前に生まれた93人の修道女たちが、20代に生活を神に捧げる誓いをかわしたときに書いた自伝を比較した。研究者は、その時に書かれた文章が複雑で技巧的なものである人ほど、老齢になってもアルツハイマー病の徴候を示しにくいことに気がついた。このことは、人生早期にすでにアルツハイマー病へのかかりやすさが示されていることを意味すると、研究者たちは信じている。
「私たちは、若年期にアルツハイマー病罹患判定に通じる、のぞき窓を得たことになります。普通ならそんな頃に、後の人生に記憶を失ってしまうかどうか判断なんか出来ないのですが」、スノウドン博士はそう語る。「私たちは、過去の様々な資料に触れることが出来ます。生活史、自筆自伝、高校の成績表など。そして、彼女たちがアルツハイマー病を発症する、60年から80年前の姿を見られるのです」。<Link>
はじめのビール飲み研究の紹介が冗談めかした調子で書き出されていたので、適当なオチで終わろうとしていたのだが、後半、有名なスノウドン博士の研究紹介になってしまい、茶化すのもはばかられる雰囲気なので、そのまま紹介する次第。なお、博士のこの研究に関する一般的解説書「100歳の美しい脳―アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち」が出ているので、興味ある方はぜひ御一読を。
もっとも、私自身は若年期の言語能力の高低が、アルツハイマー病の発症それ自体と関係しているとは思いませんがね。高い能力の持ち主が、発症後の適応不全をかなりカバーしている例はよく見るものの。
投稿者 webmaster : 2007年6月14日 21:55
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/3487