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示現流の使い手である元帝国海軍将校の主人公が勅命をうけ、ハワイ王国の王女を救うため、ダイヤモンドヘッドにつくられたアメリカ合衆国秘密軍事基地で大暴れという設定がなかなか印象深いものだった。23年前に読んだきりのエンタメ小説ながら、時折、あれを映画化したらなかなか面白いのではないかな、なんて思い出すこともあった。
今回のリライトでは、登場人物が若干増え、敵の合衆国軍人のキャラクターや、ミステリ仕立ての部分が多少膨らませてあるが、やはり「痛快冒険活劇」という狙いからすれば、そういう付け足しは煩わしさが増えただけのような気もする。何せ、23年もたてば、こちらの記銘力も落ちているので、伏線部分などいちいち覚えていられないのだ。
映画にしたら面白いのではと思ったのも当然で、これはそもそも矢作俊彦が自分で撮る映画のために書きためていたシナリオを、司城志朗が小説に仕立てたものらしい。矢作俊彦が噛んでいるにしては、もう一つ切れの悪い文章はそのせいであろう。会話部分なんて、いったい誰が喋っているのか判らんところがしょっちゅうあるし、ほとんど同じ表現とか言い回しが重なる部分が目立つのも、かなり気色が悪い。
前作がアメリカを完全な悪者=大勢はやられるだけのトンマな敵として描いていて、そのころから露骨に進んだ米国属国化への皮肉なんだろうなと思ったものだが、今回のリライトでもそれは同様である。さらに属国化が進む危機を感じ取っての、精一杯の抵抗であろうか。それなら、どうせコケるとは思うものの、カドカワあたりで映画にすればよかったのに。
というわけで、エンタメ本として楽しむなら、古いバージョンの方がよほど面白い。皆そう思うらしく、アマゾンのマーケットプレイスでは、妙に高い値が付いているのがその証拠。作中でも引用されるマルクスの言葉をかりるなら、「一度目は活劇として、二度目は茶番として」、というところか。
投稿者 webmaster : 2007年7月 4日 21:20
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