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2007年8月13日  豊胸術は自殺を増加させる [医学・科学関連, ニュース]

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<テネシー州、ナッシュビル>豊胸のために乳房インプラント術を受けた女性は、自殺や薬物依存、アルコール中毒による死亡の危険が、受けていない女性に比べて3倍高いという調査結果が発表された。

調査対象となった、同手術を受けたスウェーデン女性の死亡の少なくとも22%は、精神医学的な問題や、薬物濫用・依存が見られたと、当地のバンダービルト大学メディカルセンターの研究者、ロレン・リップワース博士とその同僚は報告している。

その原因はシリコン製インプラントそのものではなく、むしろ「豊胸手術を受ける女性たち自身が、すでにそうした問題を抱えていて、さらに後に深刻化し、死にもつながる精神医学的問題を発展させる。これらの所見は、豊胸術を求める女性に対し、事前調査やカウンセリング、及び術後の観察をより強化する必要を示唆している」と研究者はその論文に記している。

今までにも、豊胸術後の自殺率の高さに触れるものはあったが、その詳細は不明であった。リップワース博士たちの研究は、全患者についての完全な記録が残るスウェーデンの統計を使い、1965年から94年の間に豊胸術を受けた女性集団を、最高38年間にわたって観察すると言う手法を使っている。

総数3527例の豊胸術後女性を平均18.7年間追跡した結果、175例の死亡が確認されたが、これは年齢と期間補正を行った女性集団と比較して、30%の死亡率増加を示していた。自殺や薬物乱用・依存、アルコール中毒、その他の精神疾患関連の総数は38例と、対照の3倍を示した。また、肺がん死亡もわずかながら増えており、これはインプラントを受けた女性に、喫煙率が高いためと考えられた。

もっとも、豊胸術を受けた女性のほとんどが、手術後には充分な満足と、精神的な安定が得られたと自己評価していると研究者は述べている。すでに存在している精神的な不安定さが、手術直後には一時的に解決されるものの、時間と共にその効果は薄まっていくのではないか、リップワース博士たちはそう警告している。<こちらの記事より要約><元論文抜粋>

どうも研究者たちは、もともと自殺リスクの高い人が豊胸術を受ける傾向がある、と考えているようである。術後に満足をしめしていても、やがて後悔と失望がその一時的充足の高みから、被施術者を引きずり落とすのだ、というところか。スクリーニングが大事という結論も当然であろう。

普通の美容形成の場合は知らないが、私らの領域に「醜形恐怖」という恐怖性障害の一種があり、これは傍目にはたいした問題とも思えぬ身体の形状の変異について、病的にこだわる状態を指す。それの中の一部に、とにかく美容形成手術でその問題を解決しようと、まわりの説得にもかかわらず、あちこちの美容外科を巡り歩く人がいるが、こういう人が手術をうけると、問題はかなり複雑になるものだ。

大概の形成外科医は問題点を感じ取ってくれるようで、ホイホイと手術を引き受ける人はそういない(もちろん、複雑化するだけさせて、後は知らん、という態度の人もいるが)。私らの立場でごちゃごちゃ説得してもそう効果的ではないが、手術をする立場からリスクとベネフィットをちゃんと説明すれば、無用な手術で精神状態をさらに不安定化させることは避けられる場合もある。

この調査では、スクリーニングや術前カウンセリングみたいなものを解決策として提示しているが、形成外科といっても、その人の価値観も含めたQOLを向上させるのが目的なのだから、長期的予後の改善という文脈で、あくまで形成外科手法の一環として検討されるべき問題であろう。

その意味では、「包茎治療もメンタルケアを踏まえて行うべき」と言い切った某美容外科医・自称精神科医は、実に原則的正論を述べていると思うのだった。

投稿者 webmaster : 2007年8月13日 23:10

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コメント

この記事を読んだ直後、8/24中日新聞の紙上診断室というコーナーに、こんなQ&Aがありました。

Q.「最近、格安の豊胸手術を受けるかどうか迷っています。睡眠薬や抗不安薬を服用していますが、手術への影響はありますか?(34歳・女性)」 〈原文ママ〉

回答者の聖路加国際病院:大竹医長は、各種豊胸手術方式の解説をした上で、「まずは、本当に手術が必要なのか、受けたいのかをよく考えましょう」とアドバイスされており、"手術をする立場からリスクとベネフィットをちゃんと説明"しようとされてました。
いきなり「格安」「睡眠薬や抗不安薬」とインパクトある質問を投げる「34歳・女性」に出くわして、タイミングのよさに思わず反応してしまいました。

投稿者 赤ガエル : 2007年8月25日 09:29

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