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尿産生量はサーカディアンリズムに従っており、日中は多めであっても、夜間には減少して、睡眠の持続性が得られるようになっている。この夜間尿量の減少機構には、様々な要因が関与しており、ホルモン、血流、その他の睡眠に関連する要素が含まれていると考えられているが、詳細はなお不明である。
この度、テネシー州・オースチンで行われた生理学学会において、デンマーク・オーフス大学の研究者が、ボランティアを対象にした断眠実験で、尿量増加と、尿中電解質増加がみられることを報告した。この所見は、女性より男性においてより著明であった。
研究者たちは男女それぞれ10名のボランティア(19歳から35歳)を対象に、合わせて二日間の観察時間を設定し、そのうち一日をランダムに選んで断眠セッションをもった。比較観察の時期を通じて、彼らは一時間おきに血圧、脈拍、尿及び血清電解質、クレアチニン、尿素、浸透圧の測定が行われた。
その結果、断眠セッション日と比較観察期では、日中の尿量には変化が認められなかったが、断眠時には著明な尿量増加がみられた。この変化は、特に男性に強くみられた。
断眠時には夜間の血圧低下が目立たなくなったが、これは夜間のレニン、アンギオテンシンII、アルドステロン濃度の低下、ナトリウムとカリウムの排出量増加を示唆している。また、血圧が高めに保たれることで、腎血流量が増え、浸透圧利尿が起こることも一因と考えられた。<以上こちらからの引用>
要は、しょっちゅうオシッコに行きたくなるから良く眠れないというより、眠れないからオシッコの回数が増す、と言う逆の要因があることを実験的に確かめた、と言うわけである。私は研修医になったばかりの頃、特に老人患者の場合、頻尿は睡眠障害の現われであって、その逆ではなく、放置すると夜間せん妄につながることもあると指導教官から教えられた。
おそらく、精神科医療や老人医療では常識的知識だと思うが、その後、これは決して医学一般の常識ではないらしいと知るようになった。頻尿についての一般啓蒙サイトをみても、まず腫瘍とか炎症などの身体的異常について述べてあるだけで、それよりもっと多いはずの不眠・頻尿複合症候群についてはほとんど無視されている。
夜間の不眠と頻尿を訴える老人患者に、検尿してみても膀胱炎ではないのだから、寝る前に水分をとるあんたが悪いというようなアドバイスというか、叱責をする医者も結構多い。その一方で、夜間には脱水になりやすいので、血栓予防になるべく水分をとれと言っていたりする。いわれた方はどうしていいか判らず、かなり悩むことだろう。
夜間に10数回もトイレにいくような例では、すでに軽度のせん妄といってもいい場合もある。こういう例は、「調べても異常がないのに頻尿を訴えるので、何かストレスがあるのでは」といってこちらに回ってくる事もあるが、面倒なので放り出すと言う態度が透けて見えるので、あまりいい気分にはならないものだ。命には関わらんだろう、といえばその通りだが、尿や血液をみるだけで、病的事象そのものを相手に出来ないというのは、科学の一分野を担う資格に欠けていると思わざるをえない。
もっとも、こちらも実際の対応と言えば、睡眠導入剤の安易な使用を最低限にして、少量の抗うつ剤か、例によっては向精神病薬を使用するというあたりで、しかも作用機序もそうはっきり判っているとはいえない処方になるのがショボイ所。少なくともあまり意味のない水分制限は指示しないので、本人はかなり楽になるとは思うけど。
そんなわけで、オーフス大学の研究が、不眠・夜間頻尿に悩む人に対して、万人を納得させる治療を開発する契機になればと望むばかり。<Link>
投稿者 webmaster : 2007年8月15日 23:30
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