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某学者ブログからの又聞きで知ったのだが、精神科医の斎藤環氏が、今をときめく脳科学者、茂木健一郎氏に対して書簡形式の公開論争を挑んでおられるとの事である。
早速その公開論争の場を覗いてみたのだが、今のところ、斎藤氏が一回目の書簡を出されただけで、すでに3ヶ月立ちながら茂木氏からの反論がなく、「論争」にはなっていない様子である。
正直いって、私はこの論争の内容にはほとんど興味がない。まず、その中身を理解する能力を全く欠いている。それでも、一応業界周辺人ではあるので、それなりの情報に触れる機会がないでもない。
そもそも真面目に茂木氏の著作を読んだことがないので、断定するのは気が引けるが、茂木氏自身が何か独自の業績を上げているという話は聞いたことがない。少なくとも、TVで述べておられることを聞く限り、今の脳科学の成果を大衆啓蒙する役割を、真面目にこなしておられるとは思う。
当然、脳科学の押しかけ広報官たる立場からは、心的現象を脳機能に徹底的に還元する一方で、主体的体験の個別性にも視点を向けているんだよ、という芸も見せないといけないだろう。それが多分、「クオリア」なるものへのこだわりの中身であろうと、いい加減に理解していたのである。
それではイカン、というのがどうも斎藤氏の意見の様だ。何せ、「典型的な脳還元主義に見えてしまう」と茂木氏の立場を批判しているのだ。でも、脳科学にそれ以外の立場があるのだろうか。オリンピックを目指すアスリートに対し、「典型的な筋肉バカだ」と難癖を付けているようなものだと思うのだが、違うのかな。
斎藤氏の難癖に対しては、「だから何なんだ」という居直りしか返しようがなく、それ故にこの論争は成り立たないのだと私は思う。大体、ラカンがああ言ったこう言ったというレベルに依拠し、どんな人間理解が得られたというのかを示さずに、脳科学啓蒙家を批判出来るものだろうか、と私は思う。それはお前がラカンを知らないからだ、といわれるかも知れないが。
面白かったのは、斎藤氏がその書簡の中で、自分は「医学の本道にいて、脳についても素人でないことを誇示するくだり」と受け取れる部分があるのだが、そこに初歩的な間違いがある所。透明中隔欠損と透明中隔腔ではえらい違いだ。前者を「健常者にもときおり見られる異常」というのは、少々まずいような。厳しい意見交換のために、あえて対談を選ばなかったにしては、ちょっと杜撰なケアレスミス。
人間、そんな風につまらぬ間違いもしつつ、自分が正しいと信じることをそれなりにやろうとしているのだから、そう意味もない論争にこだわらず、カリカリせずに仲良くやりましょうね。
なお、上の写真は「クオリア」という言葉を思い出そうとするたび、一度頭の中をよぎる「クリオネ」の画像。これをいったん思い出さないとクオリアが出てこないのだから、かなり困ったことです。これは脳科学の視点から、どう説明されるんでしょうか。それとも、ラカン派に聞いた方がいいか。
投稿者 webmaster : 2007年9月14日 23:33
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クオリア・ニューロンを発見したとか、何かそれに関する特別な脳の調節メカニズムを解明したと言うならともかく、美というような別のレベルの判断を紛れ込ませることは、あえて二元論にたつのでない限り、一種の世渡りテクニックに過ぎないのは明らかです。どうせなら、美の合理性みたいなこと主張しないと。
そんなものをムキになって批判したって仕方がないのでは、と思うわけです。茂木先生みたいな脳の大家でも、やっぱロマンが基本なんだな、学問って面白いんだろうなと世の人に思わせる雰囲気作りでいいじゃないですか。どうせそちらの方向には、それ以上の発展はないんだから。
有名になることで科研費が取りやすくなり、そう面白くもないパラダイム網羅研究をじっくりやって貰えば、望外というもの。
それと、書かなかったけど、内田樹さんとか、養老先生などの優秀な人が、どうもこの手の半トンデモの人に食い物にされる傾向があるのが、かなり気になるところ。
斎藤環氏など、あいつを持ち上げるぐらいなら、オレとつきあえよ、と本心から思っているでしょうね。
投稿者 webmaster : 2007年9月17日 00:22
"「典型的な脳還元主義に見えてしまう」と茂木氏の立場を批判している"のではなくて、
”クオリアによって価値が決まる”と断言しながら、同時に、脳還元主義の立場をとる(ように見える)のが、つまり、『水からの伝言』同様の「価値先見主義(?)」に思えるところを批判しているのでしょう。
投稿者 Cru : 2007年9月16日 20:56
クオリアでクリオネを連想されるとゆーのが、webmaster氏のクオリアへのクオリアではなかろうかと。
精神活動が物理的反応で説明し得るというのは僕のジーさんの世代の発想ですね。ええ、サイバネティックス世代です。むはは。
しかしこれも批判されて久しいゆえ、次世代に期待されるのは両者の歩み寄りであると提唱されてからも久しいような。
これからすると現在の茂木氏のスタンスはまったく正しいようにお見受けします。
オリンピックを目指すアスリートに、そのモチベーションまで論じる必要があるものですかね。
けど論じないと気がすまない人種もあるということで。
投稿者 小狸工房 : 2007年9月15日 01:33
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