
ペンシルバニア州サスケハナ大学でクモの研究をしているマチュー・パーソンズ準教授は、ウォルフ・スパイダー(コモリグモ)と呼ばれる種類を観察対象にしてきた。パーソンズ準教授はコモリグモの多くは巣を作らず、平地で暮らしているのに、移動した時に糸を残すのは何故かと疑問を持ち、その軌跡が他の個体への化学的な捕食宣言情報として機能している事を発見した。
パーソンズ準教授と学生たちは、小さなコモリグモを小さな囲いの中で別々に育て、小昆虫を餌として育てた。その上で、大きなコモリグモから得た糸や糞を、時々、もしくは持続的にその囲いに入れてみた。
そうしたところ、3週間以上持続的に大個体からの糸や糞に晒されたグループは食べるのを止め、体重減少の末、死亡した。パーソンズ準教授は、コモリグモは自分を捕食する存在がいないところでも、死への怯えだけで死に至ることを見いだしたのである。
彼らの研究によれば、クモの糸と糞には、そのクモが最後に食べたものの情報があり、その手がかりから、捕食される可能性があるクモは、どんな相手が空腹に悩まされてるかを知り、自分が食われる危険を推論することが出来る。
年に3000ドルを費やし、クモにコオロギを与えて、この研究を続けてきたパーソンズ準教授は、クモ研究は、配偶者選択、食料調達、捕食-非捕食相互作用、情報伝達、養育投資、人口生物学、食料連鎖などの問題に答える鍵を与えてくれるだろうという。もう一つ、食人問題についても。<以上こちらの記事より>
ある種の地上歩行性のクモは、同種の優勢個体に食われるかも知れない、という化学情報を受け取るだけで死に至るという、きわめて気の毒な脆弱性を負わされているという発見。コモリグモには、無駄な同種内抗争を避け、優勢個体だけがスムーズに生き延びられるような行動パターンが、進化してきたということでしょうかね。
人間の場合、行動レベルではそういう傾向は露骨にセットされておらず、むしろ、それを是正する社会的レベルの方策が色々工夫されて来たわけである。しかし、昔ながらの優勢階層からの不満に止まらず、本来捕食対象の連中まで、そうした平準化努力に文句を言ったりするようになったのが不思議なところ。
こういう地道な研究が、さらに合理的なシステムを発想するきっかけになればと念じる次第。「天国に行くのに最も有効な方法は、地獄に行く道を熟知することである」という奴ですね。全然違うか。
投稿者 webmaster : 2007年11月 4日 21:37
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本来捕食対象の連中まで>
いや、まったく。強く首肯。
全然違うか>
おっしゃろうとしていることはとてもよく判る気がします:-)
それはそれとして、人間も逆境にさらされすぎれば社会的に退場してしまいそうになる脆弱性があるのかなあ、などと思ってしまいました。
投稿者 Cru : 2007年11月 6日 22:42
へー、ちょっとびっくり。
これは小説のネタになりそうですね。
でもよく考えたら、人間だってそうですよね。
件のクモの中にも、恐怖を克服できる個体が何匹かに一匹はいることを願ってやみません。
投稿者 Su-47 : 2007年11月 5日 13:01
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