<ミネストローネ>

適当量の(一人前普通のサイズ1〜2枚と言うところか)刻んだベーコンを油が出るまでいためる。唐辛子とニンニクを刻んだ物をその油でいためる。(その油を捨てて、新しくオリーブオイル足した方が健康的)玉ねぎ、セロリ、ピーマン、人参など適当に刻んで放り込む。適当なハーブ(バジルでもオレガノでも)と、白ワインを適当にいれ、(水でも良い)トマトを入れて(カンズメのホールトマトのほうがうまい)煮くずれだしたらパスタ(ショートパスタのいろんな種類をそろえておくと、気分にあわせて選べる。細めのスパゲッティを折って入れてもいいし、「ごはん」でもいい。豆を柔らかくゆでて置いて加えるのも乙)をいれて柔らかくなったら、塩胡椒で味を整え、出来上がり。(量は人数にあわせて適当に。所要時間20分たらず)もちろん、パスタをいれずに、ソースとして適当なスパゲッティなどにかけてもいい。パスタはゆでずにそのまま放り込んで良いが、食べ残すとふやけて見苦しい。別にゆでて食べるときあわせるとそう言うことはない。

これにサラダか、卵料理でも付ければ、かなり豊かな気分の朝食になる。輸入肉の安いところでミラノ風ステーキ、(カツの事)でも作ってそえれば、立派なディナーになる。<JAN.27.2000>

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<スペイン風アホスープ>

アホとはスペイン語でニンニクのこと。ちなみに牛はバカ。前半はミネストローネと全く同じ。ただしニンニクは好みに応じて1人ひとかけらを最小量として好きなだけ増やせばよろしい。まあ数かけらと言うところか。ベーコンではなく本当は生ハムを使いたいが、安く手に入らない。油が出てくるほどいためるのではなく、はじめからオリーブオイルにニンニク、唐辛子(刻んでもいいし鷹の爪そのままを半分にわって使っても良し)をいれて熱し、それにベーコンを加えた方がいいかも知れない。いわゆる「スパム」を使う手もあって、貧乏くさいのさえ我慢すればそう生ハムと味は変わらない(ってことはないが雰囲気は似ていないこともない)。

ニンニクは包丁の腹でつぶすだけでも良し、包丁さばきのよい人はスライスにしても良し。真ん中の芯だけは取った方がいいだろう。充分ニンニクに火が通ったら、水を加え固形ブイヨンを放り込む。勿論ストックからつくった物なら言うことはないが、そこまですることもないだろう。塩気はベーコンやチーズからもでるのでなるべく薄目に。白ワインを適量加えるとこくは増す。

一人前を加熱できる容器に入れ、軽くあぶったフランスパン(食パンでも何でもかまわない)をいれ、卵を1人一個くわえ、とろけるチーズ(モッツァレラならなおよろしい)を散らせてオーブンで加熱する。卵が半熟になったら出来上がり。<JAN.27.2000>

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<ターキーの丸焼き>

まず、安売り肉屋で冷凍七面鳥を買ってくる(妙な高級食材店で手に入れると高いだけ。安売り店で手にはいるかどうかがこれに挑戦する意味を決める)。4キロ位のびっくりするような奴が3000円台かそれ以下である。プラスチック様のもので足が固定されているが、これはそのままにして焼く。同様にプラスチックの温度センサーが突っ込まれているが、これもそのままで焼く。大丈夫、匂いが移ったりしない。また首の骨と内臓肉が付いているが前者はスープやソースのストックの材料にしたり、後者は腹の中に入れて一緒に焼き、珍味として食べればいい。

解凍し、塩胡椒して(ターキーは味の通りがよく、すぐに味はしみこむ)屑野菜<セロリのはっぱとか、玉ねぎ人参のへたとか、ブロッコリーやしめじの芯とか>とつぶしたニンニク、果物(乾燥イチジクとかプルーンがいい)をお腹の中に突っ込み(なんか生のハーブがあれば最高)、180〜200度のオーブンで約2時間、溶かしたバターをときどきかけてやりながら焼く。(オーブンの板にはやはり屑野菜を敷いて、焦げ付かないようにする。クッキングシートでもよいし、アルミホイルでもかまわないが)

先のセンサーが飛び出してきたら焼き終わり。下にたまった焼き汁を漉し、ワインを煮つめた物とあわせ、市販のものでいいからドミグラスソースを加えるか、塩こしょうで適当に味を調えてソースにする。(別にしなくても良い)先ほどつかったプルーンなどを加えて甘めのソースを作ってもよい。

ターキーは冷えてからも結構美味しく食べられる。4人家族で1週間ぐらいの朝食用コールドミートになる。アルファルファをそえて、サンドイッチにするのがあっているようだ。

この料理の利点は、「ほとんど後かたづけがいらない」点。骨はたくさん出るが。結婚式などで「こりゃ生節の煮物か?」と言いたくなるパサパサのターキーを食わされた経験のある人は、そのしっとりした味に驚くだろう。ジューシーなうまみが外に出てしまわないように工夫する必要があるようだが、上のやり方でまず何とかなる(はず)。<JAN.28.2000>

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<インペリアル・グラタン>

これは帝国ホテルの厨房での賄い料理なのだそうだ。珍妙な作り方からは想像の付かない濃厚な味だ。

まず白身の魚を用意する。タラ、ムツ、カレイ何でもよい。その日一番安い冷凍の切り身を買ってくればよろしい。一人前が普通の切り身一つと言うところだろう。それを軽く塩コショウし、小麦粉か片栗粉を軽くまぶし、バター(サラダオイルでも別にかまわない)でざっと火が通るまでやく。

グラタン皿に魚を移し、ソースを準備する。マヨネーズ、中濃ウースターソース、ケチャップをほぼ同量ずつ、一人前ティースプーン擦り切り3分の1程度のカレー粉をくわえ、魚をうまく覆う程度の量にする。魚にそのソースをかけ、オーブンで表面が軽く焦げる程度に加熱する。表面にはタマネギとかピーマンの輪切り、小エビなどを散らしてもよい。炒めたタマネギを魚の下にしく、といった工夫もいいがあまりくどくすると味が薄くなる。

マヨネーズを増やしすぎると油分がおおくなり、ウースターが多すぎると辛くなりすぎる。ケチャップが多すぎるとバサバサ感が出る。好みに応じて適当量をトライしてほしい。カレー粉は増やしても味はそう変わらない。上の量より少な目でもいいだろう。

これは「ご飯」にやたらに合う。ただしみそ汁がなぜか合わない。あっさり目のコンソメ系スープでもつければいいだろう。<JAN.28.2000>

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<ラフティー(沖縄風豚バラ肉煮込み>

中華料理の豚の角煮を実際に作るのにはかなりの手順を要するらしく、我々がそこいらで食べているのはほとんど偽物というか簡略型らしい。マンガ「美味しんぼ」では主人公が本格的角煮で、ブームに欲ボケした横浜中華街のコックと対決する様な話があったが、その作り方をみるととても素人が手を出せるようなものではないし、そもそも「皮もついた三枚肉」なんか手に入らない。簡略型なら割り切って、この沖縄風ラフティーにしてしまえば良いと思う。

まず豚のバラ肉を適量用意する。鍋に入りやすいように適当に切り分け、まず下ゆでする。30〜40分と言うところだろうか。このゆで汁はアクを漉して冷まし、さらに冷蔵庫で冷やして浮いた油を固まらせて取り除けばスープストックとして使える。時間があればこれ自体をラフティーづくりに使っても良い。

肉は食べやすい大きさにさらに切り分け、鍋に入れ鰹のだし汁(なーにヤマサの本だしで充分)をひたひたより少な目にそそぐ。そこに沖縄泡盛をひたひたより多めになるまで加え、好みによって黒砂糖を適量加え、30分ほどにこみ、しょうゆ適量(けっこう多め)をくわえて味を調え、さらに煮込む。2時間も煮ればいいと思うが、当然長いほど味のしみこみはいい。大根などを一緒に煮てもいい。一度冷めてからまた温めて食べた方が美味しい。<JAN.29.2000>

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<ゴーヤチャンプルー>

最近はそこらのスーパーでもゴーヤー(ニガウリ)を売っているようになった。食べれば「ただ苦いだけ」という印象を10人のうち9人まで持つようで、本当に需要があるのだろうかと心配になる。それでも何度か食べていると、「苦さ」というのも旨さを構成する一要素となることがわかるようになってくる。子供の頃から食べつけている人を除いて、これのフアンは沖縄旅行で出された料理を元をとらにゃ損とばかりに食べているうちに開眼すると言うタイプも多いようだ。考えてみればコーヒーだって苦さがうまみだし、ビールだってそうだ。ソフトドリンクと言えばラムネとサイダー、それにバヤリースオレンジしかなかった我々の世代がはじめてコーラに接したとき、「薬っぽい」という以上の感想を持った人間はいなかったはずだ。

それにこれはクサヤとかフナ鮨のように、生理的な拒否感を乗り越えなければいけない食品よりは、習熟の道は容易であると思う。人に食べさせて「何、あんた、この旨さが判らないの?」と見下す気分はなかなかなので、是非トライしてほしい。

まず豚の薄切り肉かベーコンを使うが、できれば「スパム」がほしい。いわゆるランチョンミートという奴だ。「スパムメール」の語源となったぐらいで、その安っぽい味は毛唐レッドネック階層の貧弱な食生活を知るのに十分だ。これを取り入れて郷土料理の豊富なバリエーションを作ったウチナー文化のしぶとさに触れるためにもスパムを使おう。

ゴーヤー一本を縦切りにして中のわたと種を取り、薄切りにして塩もみし水で洗って絞っておく。キュウリと同じでさきっぽの方が苦いようなので、適当に端のほうは除くと良い。また木綿豆腐一丁をしっかりと水切りしておく。ふきんで包んでまな板で挟み、斜めにしてしばらく置いておくのが良いだろう。

フライパンにサラダ油を熱し、短冊切りにしたスパム(もしくは豚薄切り肉、ベーコン)をいためる。ゴーヤーをくわえ、火が通ったらそこに豆腐をちぎり入れる。豆腐は焼き色が付く程度までいためた方がいいが、そうするとゴーヤーがへにゃへにゃになってしまうので、豆腐を先に加えていため、いったん取りだした後ゴーヤーをいため、その後にあわせ炒めする方がそれっぽいが別にどちらでも構わない。

最後に卵を1〜2個とき、そこに加えてかきまぜながら、しょうゆで味を調える。お好みで鰹節を全体にまぶしてもよい。<JAN.29.2000>

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<関西局地風お好み焼き>

最近は広島風お好み焼きの方が全国制覇しているようだ。関西風で育ってきた人間から言わせれば、あれがメインになっていく理由は実によく分かる。その理由とは「工程化しやすく、マニュアル化しやすい」と言うことに違いない。関東に来てお好み焼き屋に入ると客に作らせないところが多い。客にまかせるとうまく作れない人が多く、結局店の側に手間がかかるからだと思う。「客に作らせてるんじゃ商売とは言えないよ」なんぞと偉そうなことを言って、うまくひっくり返すこともできない店員もしばしば見る。関西人からみれば笑止千万の話だ。その点広島風は店の人間が作ることが前提で、しかも手間は明らかに少ない。実際に食えばそれなりにうまいが、変に焼きソバが入っていたりするし、何より目に付くように目玉焼きが載っていたりして卵がごちそうであった頃の貧乏くささを引きずっているのがいかん。そう言うわけで、関西風をあえて紹介する。

関西風と言うが、原型的お好み焼きはおそらく人によって千差万別だ。入れる具だって色々だし、地となる小麦粉と具の割合も色々だ。筆者は関西風の本質は「極少量の小麦粉によって、具がかろうじてつなぎ止められて焼き上げられる」という所だとある時見切ったので、その方向に純化したのがこれだ。

本来は濃い出汁を取りそれで小麦粉を溶くべきなのだろうが、そうすると水分が多くなりすぎる。ホットケーキの中に野菜が混じったようなものはお好み焼きと言いたくない。ましてや出汁も入れずに小麦粉を溶いて、言い訳に山芋を入れたりしているそこらのエセお好み焼き屋は殲滅すべきであろう。この点を解決するべく考えた方法は、出汁成分と粉をそのまま野菜と混ぜると言うやり方である。

まずキャベツを刻む。一人前小ぶりのキャベツなら半分であろう(ネギ類を入れる人がいるが感心しない。ネギだけで『ネギ焼き』バージョンを別に作って変化を付けるようにしたい)。これを5〜6mm幅程度に刻んで鍋か大きめのボウルにいれる。次に生協などが提供する良質な「出汁パック」を用意する。この袋を破ってそのままさっきの刻みキャベツの山にぶちまける。そして紅生姜を適量いれる。市販の細長く刻んだ奴そのままで可(大阪系だとこれを入れるのはたこ焼きだけだと言う人が出るが、塩味をこれでつけるという意味もあるので入れてもいいと思う)。そして刻んだイカ、豚肉をいれる(勿論好みによっていろいろ。しかし豚肉をメインにした方がいい。牛肉だけ、というのは絶対ダメ。ぱさぱさになる)。揚げ玉も適量入れるといい(これも大阪系の人は反対するはずだ。どっちでもいい)。それから薄力粉を振りかけるのだが、キャベツに粉がクリスマスツリーにつもったフェイクの雪程度にかかるのが適量だ。多すぎるとホットケーキだし、少なすぎると形にならない。そして卵を人数分割入れかき混ぜる。水はほとんどいらない。もちろんふくらし粉とか山芋など入れてはいけない。よくかき混ぜて、出現したグルテンによって具がなんとかまとまるという感じにしたい。じゃ強力粉を使えよ、と思うかもしれないが、そうすると今度は歯触りが悪い。それと肉類を別に焼く人がいるが、具の中に入れてうまみを閉じこめるのが本筋だ。外から「肉が入っているぞ」と見えれば良いと考える商業お好み焼き屋のまねをしてはいけない。

そして焼く。やはり家庭でもホットプレートなどで焼いているところを見ながら食欲を募らせるのがいいだろう。まず種を広げて、表面から水蒸気が吹き上げてくるまで待ち、そこでひっくり返す。よくおさえて具が広がり火が通りやすい様にする。ここで叩いたり押さえたりすると堅くなるといって、さわらせない業者がいるが、それは粉の量が多すぎるのだ。こういう連中は妙な蓋をかぶせてふっくら焼こうとするが、野菜入り固めパンになるだけだ。

火が通ったらもう一度ひっくり返し、ウースターソース(普通の中濃が好ましいが豚カツソースや専用ソース何でも好みに応じてお使いいただきたい。甘すぎるので広島の「おたふくソース」はすすめない。「オリバーソース」はセクト的にすぎる。鰹節の粉をたっぷりかけ、先ほどのソースを吸着させた後、さらにソースを適量追加し、青海苔の粉をかけて出来上がりだ。マヨネーズなどをかけるのも自由。出来れば箸などではなく、コテで食べたい。<JAN.30.2000>

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<簡易型レバーペースト>

「健康によいから」と言う理由で何かを食べるというのはとても寂しいことだと思う。と言って、レバーを「美味しいから」と思って好んで食べる人はあまりいないかもしれない。飲みに行った時に「レバ刺し」など食べる人も、多少抑制が解けたところでの「怖いもの見たさ」に近い動機が少なからずあるように思う。食べてみると予想したよりずっと端正な味なので驚くのだが(魚の刺身は苦手な筆者だが、なぜか恒温動物の生肉はいくらでも食べられる)。

その点、レバーペーストというのはカナッペに乗っていたりして、手軽な添え物のイメージがあって「肝臓」をあからさまに主張していない。パン食のバリエーションを豊かにするためにも、是非手元に置いておきたい一品だが、市販品はけっこう高いし、自分で作るにもどうやったらいいのかよく分からない。簡単に作る方法を探していたら、こういうのを友人から教えられた。けっこう意外な方法なので紹介する。

まず、「鶏のレバー」を買ってくる。「豚のレバー」でも良いだろうが、新鮮なものはなかなか手に入らないし、下ごしらえも難しいかもしれないと思い、筆者は試したことがない。まずきれいに洗った後、脂肪や血管などをとりのぞき、流水にさらして血抜きをする。せいぜい20分もやればいいと思う。「レバー」と書いてあっても心臓が入っているが、そのまま一緒に料理する。

鍋に移し、ウースターソースをひたひたに注ぎ、中火で30分ほど煮込む。

これだけである。ウースターはごく普通の中濃がいい。レバーだけを取り出し、裏ごしにかけるか、フードプロセッサーでペーストにする。好みで少量の牛乳や生クリームを加えたりするのもいいが、痛みやすくなる。残った心臓の方は良いおつまみになる。プロセッサーを使うなら一緒にペーストに出来る。裏ごしは無理だろう。ペーストにせずにそのまま食べても美味しいが、やはり「肝臓」という形態が苦手な人は手を出しにくいだろう。<JAN.30.2000>

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<明太子スパゲッティ>

街のスパゲッティ屋ではまず必ずと言っていいほど「明太子スパゲッティ」あるいは「たらこスパゲッティ」がメニューに載っている。和風だしのスープスパゲッティ系で、細切りの海苔がぱらぱらとかかっていると言うのがほとんどだ。あれはあれで好みの問題だろうが、もう少しユーティリティ度の高い明太子スパゲッティと言うことで以下のものに行き着いた。これはTVで、かのタモリ氏が紹介していたものをうろ覚えしていた内容が元になっている(そのまんまかもしれない)。

まず大食い系人間2人前なら大ぶりのたらこもしくは明太子一腹を用意する。(博多では明太子というのはたらことまったく同じ意味なのだそうだが、一般には辛子明太子と言う意味で使われていると思うので、ここではそれに習う)

適量の(上記なら大さじ2〜3杯と言うところか、もっと多めでもいい)のオリーブオイルを小鍋にとり、低温時からニンニク2かけら(好みならなんぼでも)をつぶしたものを入れる。程々に香りが出たところで鷹の爪を刻んだものをいれる(種は取る)。普通のたらこならかなり多めに、明太子なら少量でよい。焦げない程度に辛みをだしたところへ皮を破ったたらこ、もしくは明太子を入れる。弱火であまり火が通りすぎにならないように全体をオイルとなじませる。好みで薄切りマッシュルームなどを適量加える。白ワインを少量加え、アルコール分が程々に蒸発する程度火を通す。そこで火を止め、マヨネーズを元のたらこの4分の1から3分の1程度の量くわえてかき混ぜ、刻みパセリを散らしてできあがり。時間はかからないのでスパゲッティをゆではじめてから作って充分間に合う。

アルデンテに仕上げたスパゲッティにあえて出来上がり。我が家ではスパゲッティをアーリオ・オーリオ・ペペロンチーニにしておいて、他にジェノバソースとかのペースト系を用意して好みに応じて食卓で自分であえる。ジェノバ、アーリオ・オーリオ、そしてこれを一皿の上で並べると「イタリア国旗」になる。残った明太子ペーストはガーリックトーストなどにつけても美味しい。海苔はあわないので注意を。<JAN.31.2000>

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<スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーニ>

別に作り方を紹介するまでもないだろうが、上との関連で一応つけ加えておく。

まずスパゲッティをゆでる。大きめの鍋を使い、高カロリーのコンロをつかう必要がある。いまは家庭用でも大きなズンドウを売っているが、昔はなかった。故伊丹十三氏は「バケツ」を使うことを推奨しておられた。火にかけて大丈夫なのかどうか、筆者は責任持たない。

お湯が沸騰するまで待ち、かなり大量の塩を放り込む。ゆで汁はすくなくとも茨城の料理屋の吸い物程度の塩を含んでいる必要がある。スパゲッティを放り込んだとき、お湯の中で対流と共に泳ぐ位の量がほしい。少な目の時にはしばしばかきまぜる様にするが、麺が傷まないようにしたい。言うまでもないことだが「差し水」は厳禁だ。ソーメンではない。

フライパン(かなり大きめである必要がある。ない場合中華鍋が良いと思う)にオリーブオイルを入れて(量は当然麺全体に行き渡る量)低温時からつぶしたニンニクを入れ熱する。量は好みで。好きな人はなんぼでも入れたらいい。程々に香りが出たところで、鷹の爪をちぎったものを入れる。これも量は好みだ。普通はパスタ100gに小ぶりの鷹の爪一個と言うところではないだろうか。

パスタがいわゆるアルデンテになる一歩手前になったら麺をフライパンに移す(アルデンテまでゆでて器にとり、熱したオイルをかけてあえてもいいが火にすこしかけたほうが風味はいいようにおもう)。火を加えながらオイルにパスタをなじませ、出来上がり。

これを応用して具を加えたパスタにする場合(例えばアンチョビとか炒めたキノコなどをそのまま入れるようなソースをつかわないタイプ)、ゆで汁をとっておいて最後に少量あえるとしっとりときまる。<JAN.31.2000>

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<鯛の塩包み焼き>

これは先のターキー等と同様、完全に「ショウアップ」のみを意識した料理だ。こんなめんどくさいコトしなくても塩焼きで別に構わないのだが、誕生日とか合格祝いとか、何かのイベントで料理自体を催し物としてconvivialに楽しもうと言うときには最適だ。

程々の大きさの鯛を一匹用意する。ワタとウロコは取っておく。魚屋さんでやってくれるだろうし、3枚おろしなどではないから素人でも出来るはずだ。鯛でなくてもスズキでもいい。お腹の中にあり合わせの香草(パセリ、セージ、ローズマリーとタイムなど。歌詞だなこれは。なければ市販のブーケガルニの袋を破って入れても良いし、『イタリアンシーズニング』などを振りかけても良い。乾燥物でもフレッシュハーブでも、違いが分かる人がそういるわけではない。むしろ乾燥物の方が香りは高いし)と、つぶしたニンニクを2かけほどいれて軽くコショウしておく。

ボウルに塩1kg(普通に市販されている量)をあけ、卵一個分の卵白を加えてよくかき混ぜる。塩は普通の物で充分。全体が淡雪状になるまでかき混ぜ、オーブンの皿に薄く敷き、先ほどの鯛をそこにおいて、残りの塩で全体を包み込む。魚の格好の絵を描くなり、なにかメッセージを書くなり(あまり細かいことは書けないが)するのも良いだろう。

これを200度程度に熱したオーブンで30〜40分、表面が薄いキツネ色になったら出来上がりだ。オーブン皿ごと持ってきて、食卓でこの塩の固まりを割って切り分ける。塩はけっこう堅くなっているのでテーブルをこわさないように。塩の固まりの一部も取り分け、調味料にする。エキストラバージンオリーブオイルか、溶かしバターをソースとして添えるのもいい。

オーブンで仕上げる料理の利点は、段取りがつたない素人でも、冷めない料理をうまく供することが簡単に出来る点だろう。妙にメインに凝ってみて前菜が冷めていたり、一家の団らんに日曜料理家である旦那が参加できない、などと言うことがなくなる。シリアルに料理が提供されるのが普通の西洋料理を家庭に取り込むとき、この「一家の団らんをどう保証するか」という問題は重要だと思う。メインはオーブン料理、というのはその一つの回答となりうると思う。<Feb.2.2000>   

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<発奄美大島鶏飯>

断っておくが奄美大島には行ったことがなく、現地の鶏飯がどういう風なものかはさっぱり知らないので、ここで紹介するのはあくまで自分流である。奄美大島風ではなく、「発」奄美大島であるのはそう言う理由。昔行きつけだった「無国籍料理」を標榜する店の定番だったのを適当にアレンジした。パーティ料理のしめに適当かと思うが、これ一品でも充分簡単ディナーになりうる。

まず鶏の胸肉を用意し、焦がさぬようにソテーし、火が通ったところで、だし、しょうゆ、みりんを加えていわゆる「照り煮」をつくる。ソテーせずに下ゆでしてもよい。そのあたりは自由に。できあがったものは冷ましてから薄切りにする。

干し椎茸を戻し、戻し汁と出汁、みりん、しょうゆで煮て「うま煮」を作る。これも適当な大きさに切っておく。

卵を塩コショウ、しょうゆ、砂糖などで好みに味付けし、大ざっぱなスクランブルエッグ状態に仕上げる。あまり上品に仕上げないほうがいい。

ほかには適量の「柴漬け」を用意する。以上の具を大皿に取り分けて盛りつけておく。

鶏ガラスープ、しょうゆ、日本酒(南方系の焼酎を使うのもワイルド)、みりんで仕上げたあつあつのスープを別に用意しておく。

ご飯に上の具を適当にとってのせ、そこにスープをたっぷりかけてかき込む。例によって量は書いていないが、充分余裕を持って多めに作っておくことが望ましい。これを作ると家族からは悲鳴に似た声が上がることが多い。過食状態を確実に来すからだ。

紹介したような具でなくても、好みによって何でも乗せると良いと思う。我が家ではほうれん草のおひたし、絹さやなども加わることがある。卵はいわゆる錦糸卵、鶏肉はささみをゆでてほぐしたものを使うのが本来のようなのだが、それではソーメンの具で、「ぶっかけご飯」を力強く構成するにはいまいちパンチが足りない。「柴漬け」を使うところも、現地では「パパイヤの漬け物」を使うらしい。でも「柴漬け」の適当な酸味はこの料理に最適だと自分では思っているし、どこでも手にはいる。<Feb.4.2000>

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<似非松前漬け>

今回はごくごく小品、しかも「付きだし」のようなものである。筆者は普段日本酒を飲まない。あれは日本料理を楽しむための酒だと思うし、その一方で刺身、天ぷらという日本料理が苦手だからだ。刺身については前述。天ぷらまで何故苦手かと言えば、その重要な材料となる「エビ」にアレルギーが出る。ちょっと古くなっているとてきめんにダメだ。これも不思議なもので、まず店の雰囲気、接客態度で「あ、ここのエビは大丈夫だ」などと判るのが面白い。精神的要素も大きいのだろう。もちろん例外があって、口にしたとたん吐き出す、と言う失礼なことをしたこともある。これが海原雄山なら「あるじを呼べ」とすごめるところだが、こちらなどはひたすら低姿勢となって、店の人間の蔑みのマナコに耐えるしかない。

友人の外科医に「ソバ」にひどいアレルギーを持っている奴がいて、泊まったホテルがソバ殻枕を使っていて、夜間ぜん息発作をおこして死にかけたことがあるぐらいなのだが、それでも食い意地だけは人一倍で、ソバ自体は大好きなのだ。そいつも店の前を通っただけで「ここのソバは大丈夫」と判るらしい。長野県に3軒、関東に2軒ほど「食べても死なないソバ」を出す店がある、と言っていた。そこはそば粉なんか使ってないのだろうとからかうが、別のソバ好きに言わせると、その5軒は知る人ぞ知る名店なのだそうだ。

さて今回の料理だが、基本的には「松前漬け」である。ただし「昆布」が入っていない。スルメと人参だけで作るのだが、なぜか本物の松前漬けより酒にあい、多量に食べても飽きない。本物は昆布のうまみ成分とねばりが途中でいい加減くどくなってくるきらいがある。普段日本酒を飲まない筆者もこれがあればけっこう飲んでしまう。もちろんビールでも、ほかの酒でも良い。

スルメを出来るだけ細く切る。1mm足らずの幅に切れれば申し分ない。テンペラも足の部分も出来る限り使う。足はあまり細く切れないが、なるべく努力する。人参も細切りにする。スキルがある人は桂むきでもなんでもやればいいが、秋葉原の駅前で実演販売しているような器具を使えば簡単。スルメと人参の量は1:2と言うところだろうか。好みでご自由に。

酒と醤油とみりんをあわせて付け汁を作る。4:3:1というところか。好みに合わせて調整されたい。ひと煮立てさせて少し冷ましてから上の材料にあわせる。ひたひたよりは少な目でも良いだろう。2〜3時間もおけば充分味はしみこむと思う。

これは毎日新聞だったかにあった誰かのコラムで、ある寺で供される「酒のあて」として紹介されていたものだ。来客時など大量に作って、酒と一緒にあてがっておけば、大概の男性なら文句を言わずにひたすらこれだけで間が持つ。いかにも酒飲みの坊主が考えそうな料理だと思う。<Feb.10.2000>

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<地中海ラーメン>

筆者の勤務先近くの喫茶店というか、軽食屋さんにあるメニューである。最後に入ったのは6年ほど前なので、今もこれがあるかどうかは知らない。そもそも、店自体潰れずにあるかどうかも知らない。昨今の「ラーメンブーム」(本当にそんなものがあるのだろうか?筆者など、食事をラーメンで済ませる、なんてのは空腹感に対する冒涜行為のように思える)の中では、妙に本格的にこだわることが本筋とされているので、こんなものを「自慢料理」などとして人に披露すると、むしろ軽蔑が帰って来る可能性がある。

簡単に言えば、簡単なスープスパゲッティのパスタをラーメンの麺と入れ替えただけのものだ。スープは上に取り上げたミネストローネを流用してもいいし、なんならアホスープにしてもいい。だが、透明感のあるあっさり系にするのが一番受けが良いだろう。

大きめに切ったベーコン数枚を焦げないように炒め(これを後でチャーシュー風に盛りつけるわけ)、オリーブオイルを足して、つぶしたニンニク一欠けを炒めて香りを出す。鷹の爪少量をくわえて、みじん切りにしたセロリ、タマネギ、人参をいためる。少量のトマトを角切りにして煮くずれない程度に加えても良いが、あまり「トマト味」にしてしまうとラーメンとしては調和を欠くように思われる。ブロッコリーとかアスパラとかあり合わせのものなんでも加えると良いが、ミネストローネほど具を多くしなくて良い。彩りのため、赤ピーマン、黄ピーマン、普通のピーマンなどを適当に切って、最後の方で加えるといい。白ワイン少量に、スープストック(水を入れてマギーブイヨン適量で充分)を加え、塩コショウで味を調える。

深めのスープ皿にゆでたラーメンの麺(普通のスーパーでも売ってると思う。少なくとも乾麺ならあるはず)をいれ、先のスープを注ぎ、具を形よく配置し直し、刻みパセリなど散らして出来上がり。エクストラバージンオリーブオイルなど少量たらすと趣はいやます。これも、パーティでの饗応で充分堪能している友人などに、ギャグ半分で締めとして出すのに適当だろう。子供のおやつでも良いかもしれない。

考えてみれば「地中海料理」とはなんだろう。ロシア料理と韓国焼き肉、秋田のしょっつるあたりを一緒に出して「日本海料理」と銘うつ店などないのだし、ポリネシア料理にオージービーフのステーキ、ハンバーガーと名古屋の味噌煮込みうどんなら「太平洋料理」だ。まあそう自虐的に考えなくとも、大概の所ではオリーブオイルをベースにしたイタリア料理のパチモンを意味しているので、ここではそれを踏襲している。<Feb.14.2000>

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<安売り肉のフランドル風>

マーヴィン・ハリスというアメリカの人類学者は、「唯物論的人類学」と言う特異な立場から、特に「食文化」分析においてまことに「身も蓋もない」論理でこれを解明するので有名だ。イスラム教徒はブタを食べない理由、インド人が牛を聖なるものとして食べない理由などを、香具師の口上の如く見事な語り口で説明してくれる。簡単に言えばコスト・ベネフィット均衡論=「与えられた地理的、歴史的条件の下では、そうするのが一番満足に近い結果を少ない努力で得られるから」という話になるのだが、ハリスにとっては「人は肉を食べて初めて満足が得られる」というのは疑う必要のない前提であるようだ。

ハリスの説によれば、植物系食料を採取栽培している限りでは生存に何の問題もないのだが、満足のための肉の獲得には、食料確保と言う点では極めて能率の悪い狩りとか牧畜をせねばならず、結果として食料生産能力は低下してしまうことから、人口増が社会的脅威となり、結果として集団同士の富の奪い合がおこり、戦争遂行能力が社会成員のメインの条件になって男性中心の価値観となり、権力の確立と共に性差別が始まるとされる。

つまり、人間の歴史に権力や戦争、性差別や貧困や悲惨を持ち込んだのは「肉を食べたい」という一点の欲望だと言うことだ。ちょっと前の日本人のように、穀類と豆、それに時折魚を食べるという生活をしていたら、人はそう飢えるものでもなく、充分調和して生きていけるのだ。それがいまや日本人だってそんな生活には戻れない。不思議なものだ。それならせめて、同じ肉でもコストを最小にしてベネフィットを最大にすべく努力してみよう。人類の愚かしい歴史を、幾分かはましな方向にむける一助になるかもしれない。

筆者が主に材料を買うのは、関東にある程度展開しているハ*マ*という安売りチェーン店だ。オージービーフの赤身なら50円台/100g、腹身なら少し高くて70円/100gと言うところだろう。今回使うのは腹身である。そのままステーキになどすれば、顎の筋肉が鍛えられるばかりでとても満足とはほど遠い。これを何とか旨く食べたい。よく町の洋食屋さんで出されるような、箸でちぎれるような柔らかい煮込み肉を作ろうと挑戦してみた。フランドルと言うのはオランダ・ベルギーあたりのことで、そのあたりはビールが名産なので、フランドル風というのはビールで煮込む料理を言うらしい。ワインで煮込めばブルゴーニュ風などと言える。ワインで煮込むのはなかなかうまくいかないが、ビールだと案外簡単に出来るので、まずそれを紹介する。元は村上昭夫シェフなどの料理本で仕入れた料理だ。簡略化しようがない程簡単。

まず適当な大きさ(70〜80gぐらいかな)に腹身肉を切り揃え、軽く塩コショウして小麦粉をまぶす。これを比較的高温のフライパンで表面をさっと焼く。いわゆるリソレである。丸元淑生氏に言わせれば、何と愚かなことをする、と言うことになるだろう。タンパク質を変質させているだけだと。素材を生かして食べるべきだと言うのはその通りなのだが、そのままでは不味いのだから仕方がない。

肉がすべてはいる程度の鍋を用意し、大きめの輪切りタマネギをバターで炒めておく。これはかなりしっかり炒めておく方がいい。そこに先ほどの肉を放り込み、ひたひた程度までビールを加え(スッキリ味系より濃厚系の方がより旨く仕上がる)、ローリエなども入れて中火〜弱火で煮る。約2時間と言うところだろう。この時適量の砂糖(黒砂糖が望ましい)をいれて、苦みを押さえる。丸元淑生氏なら「栄養が破壊されるので甘みを加えないと食べられないのだ」と言われるだろう。その通りである。確かに蛋白質やビタミン類は大いに変成するだろうが、値段の安さを武器にして、「沢山食べる」事で乗り切ろう。

最後は市販のドミグラスソースを加えるか、もしくはフォンドボー系のうまみスープとトマトピューレを加えて味に深みをだし、塩コショウで味を調え、もう少し煮込んだら出来上がり。人参とか芽キャベツ、ペコロスだとかを一緒に煮てシチュー風にするのも工夫次第。生クリームをかけて供するのは余りにもありがちながら、やはりそれなりにあうように思われる。<Feb.18.2000>

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<安売り肉のタルタルステーキ>

前回同様、安売り肉をうまく食べる方法の追求である。今回はさらに安い赤身肉を使う。もちろん高級な肉の方がうまくなるが、その場合は妙なことをせずに、素直にミディアム・レアに焼いて食べる方がいいと思う。

人間は色々なものを美味と感じるようだが、タンパク質と脂肪の混合物の場合、特別の満足感を感じるようだ。必須アミノ酸や脂肪酸、普通では少量ずつしかとれないような栄養素を一気にとれる、というメリットを容易に享受できるから、そういう満足が得られるプログラムがされているのだろう。草食動物だって、発育期のある時期にそれなりの刺激があれば、刺激解発機構が働いて肉食も受け入れるようになる可能性はあるとおもう。逆にいえば、それが解発されなければ肉食動物だって、ベジタリアンになることだってあるかもしれない。雑食の人間の場合は間違いなくそれが可能だろう。

さて、安売り赤身肉は脂肪がほとんどなく、食べてもパサパサで、よっぽど「健康によい」と言うような呪文を唱えながらでないとうまく食べられない。おまけに堅く、顎が疲れる。それなら、初めから細かく切っておき、脂肪を人為的に加えればどうであろうか。その発想でつなぎを入れて適当に形になるようにしたのが、ソーセージ類やハンバーグだろう。ここでは火を加えるのも面倒だ、というわけで「タルタルステーキ」を作ってみた。

作り方、と言うほどのものはなく、細かく刻んだ赤身肉(室温に長くおき、血液などが流れ出さないようにしておく必要あり)にやはり細かく刻んだタマネギ、ニンニク、ショウガ、ケイパー(何故かこれを欠かすといまいちになる)をお好みの量混ぜ、卵黄を加えて塩コショウして(醤油を少量いれるもよし)、オリーブオイル(エキストラバージンにしたい)を加えてかき混ぜただけのものだ。少量のマスタードを入れるとくせが消える。リンゴを刻んだものとか、甘みのあるたれを加えて、油はゴマ油にすれば、韓国のユッケ風になるが、この場合は安売り肉では余りうまくないようだ。食べるときは薄く切って焼いた食パンの上に載せて食べるが、別にそのままでもかまわない。

タルタルステーキは馬肉で作る場合もあるようだ。というか、名前の由来になったモンゴル系騎馬民族の食べ物なのだろうから、馬が本来のものなのだろう。生食可能な馬肉なら馬刺で食べた方がいいような気もする。いずれにせよかなり好き嫌いが分かれることは間違いない料理なので、家庭に導入される場合、十分な事前調査の上で供されることを勧める。<Feb.24.2000>

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<安売り肉のステーキ>

今回はちゃんと火を加えた肉料理である。以前少し名を出した丸元淑生氏は、芥川賞候補にもなったことのある文学者だが、その現代栄養学(少々トンデモ系ではあるが)に基づいた料理の実践と関連出版物によっても知られる。というかそれでしか知らない人がほとんどだろう。私も実は彼の小説は読んだことがない。ゴメン。

丸元氏がその料理関係の書籍で何度も「ステーキ」について言及しておられる。その主張は肉の蛋白を変質させないように低温で調理すべきだ、という点につきる。かたくてまずい肉は料理によって変質したからかたくてまずいのであって、正しく焼けばかたさも味も変りはない、といわれる。

そして「パン・ブロイリング」といわれる弱火で油を引かない料理法を推奨されている。塩もコショウもかけず、約3cmの厚さに切った赤味肉(脂身はていねいに取る必要がある)をフライパンにおき、ガスの極限の弱火で4-5分、裏返して2-3分、周囲は色を変えるだけにして出来上がり。これで中心部は65度ほどの、肉をもっともおいしく食べられる温度になっている、という(たとえば『丸元淑生のシステム料理学』文春文庫を参照あれ)。

早速真似してみる。丸元氏は100g300円程度の赤身肉、といっておられるが、さきに記したごとく、こちらは100g50-70円台なのが少し気になるがまあそのままやる。すると、こちらの肉はジュウジュウと水分を放出しはじめ、3-4分でゆで肉を作っているような状態になり、とてもステーキを焼いているという図ではない。肉は十分室温に近くしているつもりだが、そもそもこの段階でやたらに水が出てくる。オーストラリアあたりで抗生物質まみれの飼料を食べて育った肉を、さらにかちんかちんに凍らせてもってきている段階で、たんぱく質が変性したのどうのというようなことはすでに問題ではなくなってしまっているらしい。

しかたなく、捨てるのももったいないので出てくる水はその都度別に取り、別にバターで炒めておいたにんにく、玉ねぎ(もちろんエシャロットでも)とあわせ、マデラ酒(甘めの酒精強化ワインなら何でも可)を加えて煮詰め、塩コショウであじつけしてソースにしてしまう。本当は途中で裏ごししたほうが本物っぽいが、面倒なので略。ごちゃごちゃやってると肉もさめてしまう。

丸元氏の言う、栄養素が失われた肉を食べるための、本来は「無用の長物」であるソースを結局作ってしまうことになるのだが、現代で一番ぜいたくなのが、そんなことしなくても食べられるような、栄養素が失われていない肉を購入することなのだから、これは致し方ないとあきらめるしかない。

なお、焼いてる途中で水が出まくる肉は、けっこうかたくなってしまうので、線維と直角に薄めに切って皿にならべ、先のソースをかけて供するのがいいとおもう。なお丸元氏の推奨されるやりかたは、ほどほどの国産肉なら充分そのままでやれることは申し添えておきたい。(2000/03/09)

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<サバのマスタードソース>

これはレパートリーになってまだ日が浅い。2回しか作った事がないので、ここまでの量のバリエーションならいい、と言うような許容範囲と言う物がわかっていないがご容赦を。TVの「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」でやっていたので、より厳密にやってみられたい方は検索をかけてほしい。上で紹介した「インペリアルグラタン」と似ているので挑戦してみた。予想に違わず、簡単につくれて程々の味になる手頃な一品だと思う。

サバの切り身を用意する。軽く塩コショウして、小麦粉をまぶし、まず皮の方からオリーブオイルで焼く。ひっくり返して充分火を通す。マヨネーズ2にマスタード1(粒でもなんでも)、生クリーム1の割合でソースを作る。生クリームがくどいと思われる方は、びしょびしょにならない範囲で牛乳を入れてもいいと思う。量は好みだが、サバ全体にソースが熱く塗りつけられる量は最低必要。それを先の焼いたサバの皮側にたっぷり塗りつけ、オーブントースターで焼き色が付いたら出来上がり。付け合わせにはTVでは粉ふきいもだけをつけていたが、確かにこのソースによくあう。マスタードとマヨネーズということで、アスパラガス(白い方)もいいと思うが、色彩的に全部白色系になるので、キャロット、ブロッコリーなどで変化を付けたい。

サバは大好物なのだが、今ひとつ貧乏くさいイメージがある(その貧乏くささがまたいいのですけれど)。これは辛口のワインにでも合わせれば、結構ゴージャスに見えないでもない前菜になるように思う。

なおこれが紹介されていた「上沼美恵子のおしゃべりクッキング」は昼休みによく見ているが、手抜き系の料理をプロがけっこうドジをやりながら作るのがとても面白い。とくに中華の先生の天然ボケぶりは、塩や薬味なんか、忘れたって何とかなるらしいと、素人を安心させるためにやってくれているとしか思えない。短い番組なのでTV欄には「上沼」とだけ書かれていることもあって、むかし私はそれを「上祐」と長らく読み違えていた。オウム真理教が世間の耳目を集め始め、連日の記者会見などが話題を呼んでいたころなので、かの元広報部長であった上祐氏の固定番組なのだろう、と勝手に考えていたのだった。少なくとも、彼らはこういう魚の殺生を前提とした食べものは作らないだろうな。(2000/03/22)

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<イカのピザ風グリル>

ちょっと上等の肉などを仕入れてきて、ボリューム感のあるメインは準備できたが、そのうえにゴージャス感をかもし出すにはやはりちょっとした前菜がほしい、と思うような時にこういうのはどうだろうか。もともとは何かのグルメ番組で、どこやらのイタリア料理店の名物料理として紹介されていた。自分でやってみると、ごく簡単に程々気がきいたようなものが出来た。めちゃくちゃ簡略にするバージョンから、元の店で出していたような凝ったものにするところまで自由にレベルは設定可能だが、ここでは私がダウンサイジングした簡易バージョンを説明。

これには冷凍室の奥底辺りに沈殿している「冷凍ロールイカ」が材料としてはもっとも適当であろう。普通の大きさで2〜3人前にはなると思う。これを解凍し、表も裏もその表面に厚みの三分の一に達する程度に、亀甲模様の切れ目を5mm幅ほどで細かく入れる。これをちゃんとやっておかないと焼いたときに丸まってしまうので、念入りに。これに軽く塩コショウして、軽く火が通る程度にオリーブオイルでさっと焼く。

これを耐熱皿におき、表面に薄くケチャップを塗り、薄く切ったトマトを何枚かしいてアンチョビーペーストを少量ちらし、乾燥オレガノなどを振りかける(生があればそれでいいけれど)。イタリアンシーズニングなどがあればそれでも充分。ピザ用の溶けるチーズをたっぷり散らし、オリーブオイルも少量ふりかけ、オーブントースターなどでチーズが溶けるまで熱して出来上がり。あまりイカの方が堅くならないようにしつつ、それでもチーズの方だけはちゃんととろけてトマトにも熱が加わっている状態にするのが、難しいと言えば難しいところだろう。

ケチャップは最近売られている「つぶつぶケチャップ」にすると、わざわざ生トマトを追加する必要がなくなる。いわゆるピザペーストでもいい。でもこう言うのは結構大量の化学調味料がつかってあるので、味がくどくなるかもしれない。もちろん自分で本格的にトマトソースを作るに越したことはない。何もない、と言うときは生トマトだけでも可。アンチョビーペーストなど無いぞと言われる場合、「塩辛」を使うのも一法だ。イカの台にイカの塩辛、というのはなかなか乙だと思う(TVで紹介されていた店は塩辛を使っていた)。チーズは普通のピザ用ではなくてモッツァレラなら言うことはないが、ちょっと品数を誤魔化すのが目的だから、そう凝ることもないと思う。普通のピザのように色々具を並べるのもいいが、簡略なほうが前菜としては適当。(2000/03/26)

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<シーザーズサラダ>

サラダ系がないので付け加える。米国系レストランではよく見かけるが、日本で一般的になりはじめたのはここ数年だろう。米国でも何故かハワイでは余り見ない。ヨーロッパでもまず見ない。初めはその名前から、ローマ帝国の料理だと思っていたが#、メキシコ系の料理だと言うことだ。作った人の名前がシーザーなのだそうだが、名前を付けるほどのものとも思えない。

#それどころか、「古代ローマでは現代のアンチョビなどにその痕跡が残る、魚醤系のものが調味料として使われたんだな。それでこういう名前が付いた」というようなデマカセをそこら中で言っていた。ホラをかました人には訂正と共にお詫びしたい。

さっと洗ってよく水を切った中玉のレタスを用意する。それを一口大にちぎって(切るんじゃないよ)ボウルにいれ、トマトを賽の目に切ったもの、ゆで卵(半熟よりやや固め)を同様に賽の目に切ったもの、クルトンを加える。卵黄一個分、オリーブオイル、レモン汁(もちろんポッカレモンで充分)、ニンニクひとかけを細かく刻ざんだもの、アンチョビペースト、塩、コショウを混ぜ合わせ、先のボウルに入れてよくなじませる。ニンニクは適当に加減して。そこにパルミジャーノをすり下ろしたもの(いわゆる昔ながらのパルメザンチーズで充分だが、本物を買ってきてすり下ろすと何か本格的になった錯覚が味わえていい)を加えてあえ、出来上がり。順序はべつにどうでもいい。クルトンがない場合、「ガーリック風味のポテトチップ」を砕いて入れるのも一興。

とある付随的な仕事の関係で、妙齢の女性と高級レストランで食事することになり、これを頼んだことがある。ギャルソンがテーブルの所でこれを作ってくれるようなとてもリッチな雰囲気で、これは仕事だけでない「付随的な」成り行きも期待できるのではないかなどと密かに目論んでいたところ、相手の女性の様子がどうもおかしい。食べる前から浮かない顔で、一口食べたとおもったらたちまち顔面蒼白となり意識喪失してしまった。救急車を呼んだりの大騒ぎとなり、最終的には大したことはなかったのだが、その女性が言うには「私、アンチョビとオリーブオイルがダメなんです」。ウソつけ、ピザハットの宅配ピザを大口開けて食べてたの見たことあるぞと思ったのだが、「熱を加えていないとダメ」なんだそうだ。

ピーター・メイルの「南仏プロバンス」シリーズの中に、たしかオリーブオイルで昏倒する女性の話があったが、時折こういう体質の人は存在するらしい。若い女性が成り行きでオッサンと会食するような場合、こういう体質なのかどうかは事前にちゃんと伝えるようにした方がいいだろう。この手の「値段は安いが蘊蓄をならべられる」料理は、オッサン連中の下心計画の一環とされることが多いだけによけいだ。自分の家でこれを作るたびに「これは神様からの戒め料理なんだ」と思って食べるようにしている。(2000/04/02)

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<ガスパッチョ>

まだシーズンには早いが、あたたかくなってくるとこれを食べたくなる。スペインではお茶づけとスープ、清涼飲料水にスタミナドリンクを足して4で割らずにそのままにしたようなもの、として受け取られるようなものであるらしい。夏バテにも良い。冷蔵庫にたくさん作っておいて、ちょっと小腹がすいたときに一杯、と言う感じで食べるというか飲むのが似合う。

トマト(大、完熟)4個、ニンニク一欠け、きゅうり一本、ピーマン(色はお好きに)1個、と言うのが基本的な分量比と思っていただきたい。好みによってセロリだとかパセリだとかを加えたり、別の香味野菜なども試されればいいと思う。アボガドなんかこってりさが増して良いかもしれないが、残すと変色しそう。

これらを粗く刻んでミキサーに入れる。フランスパンを少量ちぎって入れても可。エキストラバージンオリーブオイル(好みで量は自由に。私はコップ半分ぐらい入れるけど)、レモン汁を加え、撹拌する。白ワインを加えるのも乙。のど越しを考えて、水を加えて調整する(私は白ワインだけで調整してます)。最後に塩コショウで味付けして出来上がり。

向こうではトマトを使わずに、アーモンドかなにかとニンニクをペーストにして、それにオリーブオイルを加えた白ガスパッチョなんてのもあったような気がするが、さすがにこいつはくどそうだ。大体向こうでは朝飯を食う時間がないときに、ぐっとオリーブオイルを一杯あおってでかける、なんてのも聞くのだけれど。
最近ダイエットの流行が変わってきて、以前の炭水化物中心と言うのから、蛋白と脂肪をメインにするというのが注目されている。そのうち、オリーブオイルを毎日コップ3杯ずつ飲むダイエットを誰かが言い始めると思う。はやる前にやって見られるのはいかがだろう。

関係ないが、ガスパッチョとデコパッチンは似ている。

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<石焼きビビンパ>

最近韓国焼肉の店では、この「石焼きビビンパ」をおいている所が多い。少し前近所の焼肉屋でこれを始め、「本場ではナムルと卵、コチジャンだけが本式」と言い切っていて、確かに焼肉の後の仕上げで食べるのにくどくなくていいのだが、「そぼろ」みたいなのがかかっているのが本当だと考える多くの客にとっては手抜きと受け取られ、よく文句をいわれていた。

韓国で「全州会館」とかいう、店の前に托鉢僧の恰好した客引きがいる有名店へ行ったら、そういう野菜+卵だけは確かにあったが、「そぼろ」がかかっているのもあれば、焼肉がのっているのもあった。色々であるらしい。

ネットで「石焼ビビンパ」を検索すれば700件ほど引っかかるが、「作り方」で絞れば2-3件になる。しかも本当にレシピを紹介しているのは一件だけだった(Infoseek Japan調べ)。これに使う「石鍋」があるかないかで自分で作れるかどうかがほぼ決まるからだろう。

最近通販でこの石鍋を売っているが、数千円以上する。ひまがあれば「ソウル3泊4日2万9800円の旅」などで向こうで買ってくるのが一番だろう。私はロッテワールドのみやげ物店で、二千円足らずで買ったが、どうもボラれたような気がする。普通の雑貨屋を丹念に探すべきだった。しかも家族の分まで担いでくるのは実に重かった。

そこまでして石鍋を買う以前から、実は何度かこの「石焼きビビンパ」を試している。ここでは本邦初、「石鍋が無くても出来る石焼(風)ビビンパ」を紹介したい。

変に前置きが長いのは、作り方と言うほどのものがないからで、ご飯の上にのせるナムルはスーパーの「ナムルセット」を買えば充分で、あと必要なのは出来あいの「コチジャン」だけだ。さすがにこれは作れない。おそらくおそらく向こうでは各家庭伝承の独自コチジャンがあるのだろう。がんばりたい人は、ほうれん草とかワラビ、ぜんまいをゆでて酢と塩コショウ、ごま油であえてナムルを作ればよい。こちらではダイコン、人参のなますを便宜的に使うが、これもごま油を使ってあえると本場っぽい。

さて、石鍋がある人は薄くごま油を引いて、それをコンロで充分熱する。食べる前にご飯が炒められる余熱が必要だ。大多数の石鍋を持っていない人はどうするかと言うと、「ホットプレート」を使うのだ。なんだと言わないように。フライパンで台所で作ってもいいのだが、食べる人が食卓で自分でやる、というのがこれの本質だと思う。

ホットプレートを熱し、ごま油を引いてそこに適量のご飯をおく。そこにナムルをおいてゴマをふる。好みの量のコチジャンを加え(私はほとんどチキンライスみたいな色になるまで入れるが、さすがに辛い)、一人前卵を1個割りいれ、かき混ぜる。卵がほどほどに固まるぐらいまで熱して出来上がり。好みで焼肉なりそぼろを追加されたい。

何度かこれをやって、そのうちゆっくり石鍋の購入を検討されればいいと思う。無茶苦茶うまい、と言うものではないが、隣国の食文化の一部を知るのはそれ自体味わい深い。(2000/05/20)

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<スペイン風オムレツ>

またまた「作り方」などと言うまでもない料理である。はじめてこれを見たのは、デ・シーカ監督のイタリア映画「ひまわり」の中だった。ロシア戦線に送られる寸前に、あわただしく愛し合う若い夫婦(M・マスロトヤンニとS・ローレンだったのに初々しい若者たちに見えた。えらいもんだ)がこれを作って食べるシーンがとても切なく、彼らが失うことになる小さな幸せの象徴みたいに感じられた。実際にスペイン料理店などで注文しても、そう手が込んだものでもなし、あっと驚く味でもなく、はなはだ生活密着型、普通の食べ物と言わざるを得ない。でも、その普通さを奪われる悲しみに思いをはせて、ついついセンチになってしまう料理だ。

材料は二人前なら卵4個、中から大のジャガイモ一個というところだろう。まずジャガイモの皮をむいて薄切りにし、にんにくで香りをつけたオリーブオイルでいため、軽く塩コショウしてさっと火を通す。あとは卵をといてそこにジャガイモをいれ、塩コショウで味を整え、バターを引いたフライパンで厚焼きに仕上げるだけである。玉ねぎやピーマンをいれてもいいだろうが、シンプルなほうがいいような気がする。映画ではそれだけだった、という理由に過ぎないが。塩味としてアンチョビを刻んで入れるのもいいかもしれない。ハーブは卵の淡白さを覆い隠してしまうので、やめたほうがいいように思う。チーズや牛乳をいれてふんわりさせる、と言うのはやりすぎると本来の日常的な食べ物の感じではなくなる。フレンチオムレツではないのだから。

火をちゃんと通すためには、途中でひっくり返す必要があるが、皿をかぶせてフライパンをひっくり返し、受けたオムレツをそのまますべり入れる方法が一番確実。途中からオーブンに入れる、というのも一法。

これを食べる時は「ひまわり」の登場人物たちに敬意を払い、二人が一緒に暮らして月日がたち、くどく脂ぎったオッサン・オバハンになって、口やかましく怒鳴りあい、まわりで汚らしいガキどもが騒ぎまくるというような雰囲気をかもし出すのが作法だと思う。何の変哲もない日常と言うものの素晴らしさをかみしめながら。

あ、考えてみればイタリア映画でなんで「スペイン風」だったんだろうな。(2000/06/12)

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<ミラノ風カツレツ>

昔風の定食屋などでは、芸術的にまで薄く切られた豚肉がカツにされた「トンカツ」があったものだが、あれを正当化していうなら「ミラノ風」と言うことになるらしい。なんでミラノなのか、はよくわからない。知り合いのイタリア文学者がしばらくミラノに留学していて、あれはイタリアにしては実質より見てくれ(でかく見える、ってだけのことだけど)を選択する傾向の強い北部イタリアの産物ではないか、といっていた。そこにはツアーで訪れる日本人観光客が強制的に行かされるミラノ料理の店があって、これが必ず出されるそうだ。ほとんど日本の定食屋の薄っぺらいカツと同じ味がして、それはそれなりに郷愁を誘うので、知り合いが遊びにきたときなどは一緒に行って食べていたという。

とにかく、安い肉をほどほどにリッチな気分で食べる、という目的には結構合致する料理なので、我が家で作るバージョンを紹介しておく。かのイタリア文学者に言わせれば、向こうの料理とはかなり違うがまあ、これはこれで結構うまい、とのことだ。

肉は牛肉でも豚肉でもいいのだが、値段の割に味を重視したいなら豚にする方がいいだろう。脂身のないヒレを買ってくる。ヒレを5-60gほど肉の繊維に直角に切ったものを用意し、それを肉たたきでバンバンたたき、3倍ぐらいの広さに伸ばしたあと、軽く塩コショウしておく。とろけるチーズ(もちろんモッツァレラなら言うことない)をそれではさみ、しばらくおいて安定させる。パン粉におろしたパルミジャーノ適量と塩コショウで味付けしたものを用意し、先ほどのチーズをはさんだ肉をとき卵にくぐらせ(小麦粉はつけてもつけなくてもご自由に)、そのパン粉を押し付けるようによくまぶす。牛肉の場合は硬くなりがちなので、筋切りして念入りにたたいておく。チーズも多めにした方がいいが、それだけ作りにくくなる。はさむチーズを増やすと分解しがちだし、パン粉のチーズを増やすと焦げやすい。

フライパンに肉がひたひたになる量より少なめにオリーブ油を入れ、中温で揚げる。揚げると言うより、多目の油で焼いている、という感じにすると、肉がはがれたりせずうまくいくようだ。片面3分弱、焦げないようによく火を通す。火がとおったらひっくり返し、さらに火を通す。牛肉なら時間は少なめ。

適当な付け合せとともに皿に盛る。普通はレモン汁で食べるのだが、「トンカツソース」などを所望される場合もあって、ちょっとガックリくるので、適当なソースを作っておくのもいいだろう。私は最近これにはバルサミコのソースを添えるようにしている。単にバルサミコ酢を煮詰めて半分ぐらいの量にしただけのものだが、良いバルサミコは柔らかい甘味とフルーティな香りをともなう、とても酢を煮詰めただけとは思えぬソースに変身する。安物はいつまでたっても刺激臭が取れない。きつい場合はバターを入れたり、フォンドボーで薄めたりして調整されたい。(2000/07/04)

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<スイカの皮スープ・中華風>

今回はかなり貧乏くさい。どうもこの前TVで「にあんちゃん」をみてからというもの、発想が陰にこもるというか、反蕩尽の側に傾いていけない。実際は倹約というところから出てきたのではなく、スイカのシーズンになって毎日大量に出るスイカの皮をなんとかする方法はないだろうか、というところから考えたものだ。量も多いし、生ゴミ収集の日まであれを置いておくと、ショウジョウバエはよって来るし、収集場まで持っていくのは重いし。

よく漬物にしたりするが、あれでは消費量も少ない。火を加えて一度に量を消費したい。そこで思いついたのが中華の「冬瓜」料理だ。冬瓜もスイカの皮部分もそう違うものではあるまい、ということで中華風スープに仕立ててみた。

といって、そう味に期待も出来ないだろうし、妙に凝ってみて出来が悪いのも悲しいので、出来合いの中華スープの素で簡単に試してみた。中華スープの素は日本産のメーカー品にもいろいろあって、結構出来がいいのもあるが、おすすめなのは神戸の「廣記商行」というところが出している「味覇」(ウェイパァ)だ。よく安売りスーパーなどで見かける。500g千円しないはずだ。これがあると、ラーメンスープからたいがいの中華料理の下味まで、これだけで程ほどに仕上げられる。あまり化学調味料っぽくない、そこそこくどくない味になると思う。もちろん、化学調味料は結構入っているとは思うが。

作り方、というのもおこがましいので簡単にまとめると、スイカの皮を用意して(つまり普通に赤いところを食べるわけ)、緑の皮部分を数ミリ分は取り去り、適当な大きさに短冊にして置く。それをさっと少量のごま油で炒めておくと風味はいいのだが、別に義務ではない。一人前ティースプーンすりきり一杯程度のウェイパァ、というのを目安にスープを作り、それで先のスイカの皮をやわらかくなるまで煮込む。

そのとき、適量のベーコン、もしくは中華ハムを加える。薄切りの鶏肉、ささみなどでもおこのみに(先の炒めの工程で加えても可)。仕上げに少量のごま油をたらしたりするのもいい。老酒などを加えて、アルコールを飛ばすと風味は増す。よく中華スープに入っているクコの身とか、を彩りに添えるのもいいかも。必要に応じて塩コショウで味を調え、容器にもって、あさつきなどを適当にちらして出来上がり。カニ缶なんか奮発し、水溶き片栗粉などでとろみをつけ、溶き卵を流し入れるととてもゴージャスだが、そこまですることもないか。

この料理の欠点は、料理前にデザートを済ましておかねばならぬ点。うちみたいにシーズンは3食+おやつ全部スイカというところは関係ないけれど。

不注意でファイルを壊してしまったので、もう一度書き直してアップ。(2000/07/11)

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<スコーン>

流行というのは恐ろしいもので、数年前に林望氏が「イギリスはおいしい」というエッセイ集を出されてから、気の効いたおやつと言えば英国菓子を意味するようになり、向こうのハイティーの風習もどきをたしなむのがお洒落と言うことになってしまった。ちょっと前までは、英国の食べ物といえばまずい物の代表みたいに言われていたのに。

イギリス人というのは日常の食事についてはえらく無頓着なくせに、一部の嗜好品については妙にこだわるという変な癖がある。紅茶は言うに及ばず、シャンパンなんて、イギリス人がいなければあそこまで洗練されたものにならなかったろう。この場合の「イギリス人」と言うのはどのあたりまでを指すのか、と言うのはいまいち良く判らないのだけれど。

遊びレベルでイギリス人達と付き合ったことがある人は判ると思うけれど、連中の執念に裏付けられているとしかいえない、くどいユーモアの追求とか、みえすいた事を徹底してやるしつこさには脱帽するしかないところがある。イメージ的に言えば、松本人志がてれずに真顔であのギャグをやりつづけるさまを想像するのが一番それに近いかも。日本人のわびさび感覚とは対極で、同じ島国そんなくどさでどこへ行く、と言いたくなる。あれでフランス料理みたいにしつこいものを食っていたら、くどさしつこさの中にすべてが埋まりこんでしまうので食生活には淡白でいるしかないのかもしれない。

と言うわけで、イギリス人のくどさの対極にある、あっさりした日常菓子がこれである。「バック・ビート」という駆け出し時代のビートルズを描いた映画があったが、その中で彼らがハンブルグにやっと公演先を見つけ、船で出発しようと言うとき、ジョージ・ハリソンのおばあちゃんが「スコーンを焼いたから持っていけ」とジョージに呼びかけ、うざがられているシーンがあった。ハイティーに登場するしゃれた菓子というよりは、手作りまんじゅうとかおにぎりと言う感覚の食べ物なのだろう。

材料の目安は4〜5人分。薄力粉300グラムにバター(無塩バターの方が良いが、塩加減で調整すればいい)100グラム、卵1〜2個、牛乳4〜50グラム、ベーキングパウダー大さじ一杯程度、砂糖おこのみ(大さじ2杯程度)、塩少量。ほかに好みで乾燥フルーツとか、アールグレイのような香り付けした紅茶の葉とか。

まずベーキングパウダーと塩砂糖を加えた薄力粉に、小指頭大に刻んだバターを入れて指先で粉を練りこむ。バターが溶けないように手早くやって、さらさらともモロモロとも言えるようなみたいなものにする。林望氏はこの部分は男性がやったほうが良いと言う。力が強くてさっさとやれるからだというが、残念なことに男性は一般的に手が女性より暖かく、バターが溶けやすい。かなり手早くやる必要があって、やる気のない旦那やボーイフレンドはあまり役に立たないと思う。

それに卵と牛乳を加えて、いわゆる耳たぶの硬さ程度に調整し(ここで好みに応じて、少し水で戻した乾燥フルーツとか、紅茶の葉などをいれると色々なバリエーションが楽しめる。いろんなもので試されるといいと思うが、経験からやめたほうがいいと言えるのは、青海苔、紅ショウガ、タコの切り身、納豆、キムチなど)、あっさりとこねて伸ばし、2〜3回折りたたんで2cmぐらいの厚さにととのえ、適当な大きさの型で抜く。型がなければ細身のコップをつかうとか、適当に工夫を。普通に丸めただけだと、林望氏の言うような「狼が牙をむいたような」感じで側面に切れ目が入って膨らむようにならない。卵の黄身を塗りつけて焼く(別に白身でも、溶き卵でもそう違いはないけれど)。200℃強ぐらいのオーブンで、約10数分というところだろうか。

むき出された狼の牙の部分から半分に割って、ジャムとかをつけて食べる。本場ではクロテッド・クリームという生クリームを煮詰めたような、いかにもくどめの物をつけるらしい。どこかでくどさを追求するのがイギリスの作法というところか。(2000/07/22)

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